NEJM(The New England Journal of Medicine) に発表された「新型コロナウイルス感染症の特徴」をご紹介します。前回、Twitterに少し述べたら、いろんな方が反応してくれましたね。
NEJMから、新型コロナウイルス感染症(COVID-2019)の特徴を述べた論文がでていますね。
近々、読んでみようと思います。
Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in Chinahttps://t.co/QpWuNg0dZH
— Dr. KID (@Dr_KID_) February 29, 2020
- 中国と日本の感染者数の推移
- NEJMから報告されたCOVID-19の臨床的な特徴
中国と日本の感染者数の推移
中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (3/1時点)
- 世界:86,815人
- 中国:79,824人
- 日本:243人
大半が中国で占められていますが、世界全体では8万人が報告されていますね。韓国とイタリアがここにきて、急増しています。
中国の累積感染者数の推移
中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしていますが、徐々に新規感染者は鈍化してきて、頭打ちになってきている印象です。ここのところは、8万弱がずっと推移していますね。
図のY軸のスケールを対数化させたグラフが右側です。感染者数の増加速度は、徐々に鈍化してきている印象です。
日本の累積感染者の推移
日本の患者数の推移は以下の通りです:
この図を見てしまうと、まだ上昇トレンドで、勢いは増してきている印象で、これから急速に増えてくるかもしれません。
右の図は、Y軸を対数化しています。累積数は200人を超えて、もうすぐ250人です。
韓国で感染者数が3,500人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールは90人、イタリアが1,100人を超えています。
また、アメリカなどを含め、渡航制限が今後どうなるかも注目しています。現在はアメリカは日本に対してレベル2「高齢者や慢性疾患のある人は、不要な渡航を控え、延期するよう推奨」の設定のようです。
韓国に対しては、さらにレベル3に引き上げられています。
NEJMからのCOVID-19の報告
今回は、NEJMから報告された新型コロナウイルス感染(COVID-19)の報告を見ていきましょう。
Guan, et al. Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in Children. NEJM, 2020 Feb 28.
今回は、1099名の確定症例の臨床的な特徴の分析を行っています。
小児の症例について
成人のデータは、医師も沢山報告しているので、まずは小児の症例を見てみましょう。
1099名のうち、15歳未満の小児の症例は9例でした。そのうち、1名が重症化し、残りの8名は重症化することなく経過したようです。
臨床的な特徴
ここかたは、臨床的な特徴についてみていきましょう。成人・小児を含めたデータになりますが、ほぼ成人が占めています。
潜伏期間
潜伏期間は中央値は4日間でした(2〜7日)
症状
症状については、多いものかた並べると、以下の通りです:
症状 | % |
発熱 | 43.8%→88.1% (入院前→後) |
咳 | 67.8% |
倦怠感 | 38.1% |
喀痰 | 33.7% |
呼吸苦 | 18.7% |
筋肉痛/ 関節痛 |
14.9% |
咽頭痛 | 13.9% |
頭痛 | 13.6% |
寒気 | 11.5% |
吐き気 | 5% |
下痢 | 3.8% |
発熱と咳が多いですね。少なくとも1つ以上の基礎疾患のある方が23.7%だったようです。
画像検査
画像検査で異常を認める割合は以下の通りでした
異常あり(%) | |
レントゲン | 59.1% |
CT | 86.2% |
症状はない or 軽くても、CTを撮影したら、異常があったという例は結構あるようですね。
血液検査
血液検査の結果は以下の通りでした:
所見 | 割合 |
白血球 | 上昇:5.9% 低下:33.7% |
リンパ球 | 低下:83.2% |
CRP上昇 | 60.7% |
プロカルシトニン 上昇 |
5.5% |
LDH上昇 | 41% |
AST上昇 | 22.2% |
ALT上昇 | 21.3% |
CK上昇 | 13.7% |
D-dimer上昇 | 46.4% |
ウイルス感染症で比較的よくみられる所見かと思いました。
感想と考察
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。
現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 中国と日本の感染者数の推移
- NEJMの報告
についてアップデートさせていただきました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
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