- 下痢の時、母乳を続けても良いですか?
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、炭水化物の吸収が悪くなることが知られています。このため、母乳を続けることに疑問を感じる保護者や医療者がいるようです。
今回は、下痢のときに母乳を続けるにメリットがどのくらいあるのかを触れた論文の解説をしようと思います。
- 小児の下痢の時、母乳を続けたほうがといか検討
- 母乳を継続が、下痢の期間が最も短い傾向にあった
基本的に、胃腸炎のときも、母乳は続けてもらって大丈夫と考えられています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、母乳を続けてよいか検討した研究になります。
南アフリカで、1986年に報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 生後3日〜28ヶ月の乳児
- 胃腸炎で入院
- 下痢の期間は受診時に7日以内
の患者が対象です。
治療
治療は、点滴による脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 通常のミルク
- 母乳
- 混合栄養
- 乳糖を含まない大豆由来のミルク
となります。
大豆由来のミルクとして、国内ですとボンラクトなどがあります(推奨ではありません):
研究結果
それぞれのグループに120人 vs. 79人 vs. 35人 vs. 75人ずつが参加しています。
結果は以下の通りでした
1. 下痢の期間
下痢の期間は、以下の通りでした。
グループ | 下痢の期間 |
通常のミルク | 70.5時間 (60.3) |
母乳 | 60.9時間 (50) |
混合栄養 | 64.8時間 (57) |
乳糖なし | 61.4時間 (48) |
母乳を続けていたグループが、下痢の期間は最も短かったです。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、母乳を続けても良さそうなデータでした。乳糖をさけたとしても、下痢の期間は短くなっていません。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、母乳を続けてよいか、乳糖を避けるべきかを検討しています。
母乳を継続して問題なさそうなデータでした。むしろ、下痢の期間はミルクよりも短い傾向にあります。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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