- 下痢の時、乳糖を避けましょう
という指示もあるようです。
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、さらに炭水化物やタンパク質、脂質の吸収が悪くなることが知られています。このため、乳糖を避けた方がよいのではないか、と必要性を感じる保護者や医療者がいるようです。
今回は、この方針にメリットがどのくらいあるのかを触れた論文を、もう1つ発見したので解説をしようと思います。
先に結論とポイントから述べましょう。
- 乳児が下痢の時、乳糖を避ける必要があるか検討
- 乳糖を避けても、下痢の期間、体重の増加率は変わらない
基本的に、胃腸炎のとき、乳糖を避けるべきかは、専門家でも意見が別れているようです。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、ミルクや乳製品をそのまま続けてよいか検討した研究になります。
1994年にコロンビアから報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院
した乳幼児が対象です。
治療
治療は、脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 通常のミルク
- 乳糖を含まない大豆由来のミルク
のいずれかをランダムに割り当てています。
乳糖を含まない大豆由来にミルクとして、国内では「ボンラクト」などがあります:
研究結果
最終的に52人が参加しています。
結果は以下の通りでした:
乳糖 | なし N = 28 |
あり N = 24 |
下痢の期間 | 41.9時間 | 54.4時間 |
体重増加 | 0.78 kg | 0.82 kg |
下痢の期間も、体重の増加率も、乳糖をさけても、さけなくても、それほど変わらない印象ですね。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、乳糖を避けても、下痢の期間にはあまり影響がない印象でした。
ただ、たった11例のRCTであり、再検証は必要でしょう。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、乳糖を避けるべきかを検討しています。
乳糖を避けて、大豆由来のミルクを使用しても、下痢の期間や体重の増加にはあまり寄与していないのが分かりました。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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