- 下痢の時、まずは経口補水液で、腸を休めましょう
という指示もあるようです。
今回は、この方針に科学的根拠があるか検討した論文を解説してみようと思います。
ユニークな点は、乳糖を含まない大豆由来のみるくで、早期からミルク摂取する場合と、1日は経口補水液を投与して、その後に再開する方法です。
先に結論とポイントから述べましょう。
- 乳児が下痢の時、ミルクの再開を遅らせる必要があるか検討
- 再開を遅らせると、むしろ下痢の期間が長くなるかも
基本的に、胃腸炎のとき、飲める状況であれば、ミルクや母乳をやめて、経口補水液にする必要はありません。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、ミルクの再開を遅らせた方がよいか検討した研究になります。
1999年に報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院した
小児が対象です。
治療
治療は、脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 乳糖を含まない大豆由来のミルクをすぐに再開
- 24時間は経口補水液を与え、その後から1)と同じミルクを再開
のいずれかをランダムに割り当てています。
大豆由来のミルクとして、国内ではボンラクトなどがあります(推奨ではありません)
研究結果
最終的に56人が参加しています。
背景は以下の通りでした:
ミルクを | すぐ再開 N = 29 |
1日遅らせる N = 27 |
48時間以内に 下痢が止まる |
21 (72%) |
12 (44%) |
すぐにミルクを再開したほうが、下痢が止まるのは以外と早かったようですね。
リスク比やリスク差に換算すると、以下の通りでした:
治療成功率はリスク比にして1.6倍、リスク差にして28%ほど高いですね。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、ミルクをやめて経口補水液にするメリットはあまりなさそうですね。
まとめ
今回は、乳児の下痢に対して、ミルクをやめて、経口補水液にすべきかを検討しています。
経口補水液のみにしても、下痢の期間は短くはならず、むしろ遷延する可能性もありそうです。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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