- 下痢の時、乳糖を避けたほうがよいのか?
という話題を繰り返し報告してきました。過去の個々の研究をみても、この方針は専門家でも議論が分かれているようです。
急性胃腸炎のときは、小腸の乳糖分解酵素が欠乏しやすく、吸収が悪くなることが知られています。このため、乳糖を避けた方が吸収に良いのではないか、と必要性を感じる医療者がいるようです。
どうやら、1980-1990年代にかけて、積極的に研究がなされていたようです。
今回は、この方針に科学的根拠があるか検討した論文を解説してみようと思います。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 乳児が下痢の時、乳糖を避けたほうがよいか検討
- 乳糖を避けると、下痢の期間はやや短くなるかも
Xu JH, et al. Efficiency of lactose-free formula feeding as an adjunctive therapy in infants with acute diarrhea. Zhongguo Dang Dai Er Ke Za Zhi. 2009 Jul;11(7):532-6.
胃腸炎のとき、乳糖を避けるべきかは複数の研究が行われていて、意見が分かれています。
研究の概要
今回は、小児の下痢において、乳糖を避けたほうがよいか検討した研究になります。
2009年に中国から報告されたランダム化比較試験になります。
対象患者
対象となったのは、
- 胃腸炎で入院
- 乳児
が対象です。
治療
治療は、脱水補正をした後に、以下のような方針にしています。
- 通常のミルク
- 乳糖を全く含まないミルク
のいずれかをランダムに割り当てています。
乳糖を全く含まないミルクの例として、ノンラクトがあります(推奨ではありません):
研究結果
結果は以下の通りでした:
乳糖なし | 乳糖あり | |
治癒率 | 58.3% | 8.3% |
有効率 | 96.7% | 85.0% |
下痢の期間 | 3.17日 (1.04) |
5.25日 (1.58) |
乳糖を避けた方が、下痢の期間はやや短くなっているようですね。
治癒率や有効率の指標が曖昧で分かりづらかったですが、少なくとも乳糖を避けて悪いことはなさそうです。
感想と考察
今回の研究に関しては、小児が下痢をしたときに、乳糖を除去すると、下痢の期間は短くなる印象です。
まとめ
今回は、2009年に中国から報告された、乳児の下痢と乳糖に関連した研究です。
乳糖を避けることで、下痢の期間は1日ほど短くなっています。
類似の研究は多数出ているので、今後も報告していければと思います。
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