かぜと副鼻腔炎を区別するのは非常に困難なことがありますが、1つの指標として鼻汁や発熱の期間があります。例えば、かぜで咳や鼻汁が10日以上続くのは、それなりに長めな印象をうけます。今回は、この症状を対象に、行われた小児のRCTを紹介します。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 小児において、10〜30日持続する咳・鼻汁のある副鼻腔炎を対象にRCT
- 抗菌薬は治療成功率を上昇させた
鼻汁が10日以上改善しなかったり、1回よくなっても再度悪化してくる場合は要注意です。
研究の概要
この研究では、
- 2〜16歳(平均6歳)
- 10〜30日間の咳・鼻汁があり
- さらにレントゲン上で副鼻腔炎の所見のある
小児を対象に、ランダム化比較試験(N = 93)が行われています。
治療
治療は、
- アモキシシリン
- アモキシシリン・クラブラン酸
- プラセボ
のいずれかがランダムに投与されています。
結果
プラセボ(43%)と比較して、アモキシシリン(67%)およびアモキシシリン・クラブラン酸(67%)のほうが治癒率は高かったです。
感想と考察
こちらが一番古い論文のようですね。このころから、この著者らのグループは、小児の急性副鼻腔炎に精力的に研究を行っています。
まとめ
今回の研究は、長引く副鼻腔炎を対象にRCTをしたところ、抗菌薬の有効性が確認されました。
経過で抗菌薬を使用する対象を絞ることは重要ですね。
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