科学的根拠のある子育て・育児

アルコール手指消毒によるこどもの事故について [アメリカ編]

今回は、アメリカのCDCから報告された、アルコール手指消毒の事故について解説してみようと思います。

小児の手指衛生では、アルコール性の手指消毒剤 or ハンドソープ + 流水での有効性は過去の研究から示されています。
一方で、アルコール性の手指消毒剤に関連した事故は起こっており、大人が事故を起こさないように、しっかりと管理する必要があります。

先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。

ポイント

  •  アルコール手指消毒剤による事故を調査
  •  間違って or 意図的に摂取をしている例が多かった
  •  使用する際には、管理と監視が必要
マミー
マミー
アルコール手指消毒剤は安全に使用できますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

  乳幼児はアルコール手指消毒のほうが有効性は大きそうです。一方で、消毒液を介した事故が起こらないよう、大人がきちんと管理する必要があります。

 研究の概要

このトピックで既に分かっていることは?

メーカー側が推奨しない間違った方法でアルコール手指消毒剤を使用すると(誤飲など)、乳幼児や小児に健康上の問題を引き起こす可能性があります。

この報告書では何が追加されたのか?

2011年〜2014年に、アルコールおよびノンアルコールの手指消毒剤への70,669人の事故が、12歳以下の小児でNational Poison Data Systemに報告されています。

これらの約90%は、0~5歳の子供の間で発生しています。その年齢層の中で、事故の97%は経口摂取であった。

6-12歳の子供たちは、意図的に経口摂取している例もあり、学童にとって乱用しうる商品かもしれません。不適切な手指消毒剤のアルコール摂取は高学年のほうが多く、さらに合併症も多い傾向でした。

一方で、。重篤で生命を脅かす症状は稀でした。

データでは季節トレンドがあり、学期やインフルエンザの季節との相関が考えられます。

公衆衛生にどのような意味があるのか?

保護者、学校の教員や医療従事者は、子どもたちの間での手指消毒剤製品の不適切な使用に関連した潜在的なリスクや危険性を認識する必要があります。

不適切な使用とそれに伴うリスクから子どもたちを守るために、適切な安全予防策を実施する必要があります。

アルコール手指消毒剤製品を使用している間は、親や教師による監視が必要かもしれません。特に、高学年の児童がこれらの製品を乱用しているかもしれない点は、留意しておくべきでしょう。

感想と考察

手指消毒剤に使用されるアルコールを意図的あるいは意図せずに摂取してしまうケースがアメリカには、それなりによくあるようですね。

アルコールの手指消毒剤を使用する際、保護者や先生はしっかりと管理・監視する必要がありますね。

Dr.KID
Dr.KID
意図的に摂取というのが、なんともアメリカらしい…

まとめ

アルコール手指消毒剤は手指衛生に重要ですが、不適切な使用(特に誤飲)による健康被害のリスクがあります。

保護者や学校の関係者は、使用する際には管理・監視をすることが重要です。

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/23 01:18:29時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。