今回は、コロンビアから報告された、手指消毒剤のインフルエンザに対する予防効果を検証した研究をみていきましょう。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- アルコール手指消毒剤とインフルエンザ予防効果を検証
- 急性胃腸炎や呼吸気感染症のリスクが減る傾向
アルコール手指消毒剤が感染症の予防効果にどのくらいあるか検証した研究はたくさんあります。
研究の概要
目的
限られた水道水しかない保育所において、1~5歳の子供の急性胃腸炎と急性呼吸器感染症を減らすため、アルコール手指消毒剤剤が有効かを評価した。
方法
これは発展途上国における最初のクラスター・ランダム化比較試験であった。この研究では、コロンビアの6つの町にある、水の供給が限られた42の保育所で行われた。
参加者は、手洗いの補完としてアルコール手指消毒剤を使用するようにランダムに割り付けられた(介入群:21施設/794人の小児)。
コントロール群では、既存の手洗い習慣を継続する(対照群:21施設/小児933例)方針であった。
急性胃腸炎および呼吸気感染症の症例は、教師の報告を通して同定した。有害事象をモニターした。ハザード比(人事部)はCox比例ハザード多変量回帰モデルを用いて推定した。
結果
追跡日数は合計で336,038日で、追跡不能は14.5%であった。
呼吸器感染症・胃腸炎ともに、初期のハザード比に統計学的な有意差は認められなかった。
中期および後期では、コントロール群と比較して、介入群で急性胃腸炎んのリスク低下が認められた(中期, HR=0.55;後期, HR=0.44)。
さらに、呼吸気感染症においても、中期(HR=0.80)と後期(HR=0.69)でもリスク低下がを認めた。
有害事象は発生しなかった。
結論
アルコール手指消毒は急性胃腸炎と呼吸器感染症を安全に、かつ効果的に予防する可能性がある。
これらの疾患を予防するためのコロンビアの公衆衛生政策は、水の利用制限がされている状況では、石鹸と手洗いだけでなくの使用をいれるべきである。
感想と考察
手指衛生の基本は流水と石鹸の手洗いですが、水不足の地域だと十分に洗えないばしょうもあるのでしょう。
こういう地域においては、アルコール消毒液は貴重ですね。
まとめ
コロンビアの保育所で、アルコール手指消毒剤を使用した手指衛生は、呼吸器感染症や急性胃腸炎のリスクを下げる可能性が示唆された研究です。
●最近、気になっている書籍はこちら↓↓
Dr. KIDの書籍(医学書)
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/23 01:09:35時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています
当ブログの注意点について