今回は、アメリカから報告された、手洗いの胃腸炎予防効果を検証した研究をみていきましょう。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- 保育所に手洗いを指導する介入効果を検証したアメリカの研究
- 約1年で、下痢の発症率が50%ほど低下したようです。
手洗いが感染症の予防効果にどのくらいあるか検証した研究はたくさんあります。
研究の概要
下痢は保育所に通う子供の間で、頻繁な健康問題として認識されている。
そこで、保育園の手洗いプログラム(スタッフの講習)が、コントロールと比較して、子供の下痢の発生率に及ぼす影響を評価した。
プログラム開始後、HWCでの下痢の発生率は低下し始めた。
研究の二か月後、手洗いプログラムを導入したグループ)は、コントロールグループより一貫して低く、下痢の発生率は全35週間の研究期間で約半分であった。
アデノウイルス、ロタウイルス、Giardia lambliaおよび病原性大腸菌が糞便中に検出された症例が少しあったが、下痢のほとんどの子供の糞便中に病原体は同定されず、ウイルス性であったと推測される。
これらの結果は、手洗いプログラムが保育所における下痢の少なくとも一部を予防することを示唆している。
感想と考察
保育所に、手洗いを促進するプログラムを導入した場合、胃腸炎のリスクが50%くらい低下しました。臨床的にも、結構、大きな違いと思います。
まとめ
今回は、アメリカの保育所を対象に行われた研究です。手洗いに関する講習会を開いたグループのほうが、下痢の発症率が少ない傾向にありました。
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