- スクリーンタイム(テレビやスマホを使用する時間)は乳幼児の発達に影響しうるので、気を付けましょう
乳幼児健診などでよく聞く話かもしれません。
今回の研究は、2441人の幼児において、発達を評価したコホート研究です。
- カナダにおいて、スクリーンタイムが幼児の発達に与える影響を評価
- 2〜3歳時点にスクリーンタイムが長いと、その後の発達検査のスコアが悪い傾向にあった
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
研究の概要
背景
スクリーンタイム(スマホやテレビの時間)は、発達の遅れと関連していると指摘され続けています。
しかし、スクリーニングタイムが長いほど発達スクリーニング検査の成績スコアが低いのか(スクリーンタイム→発達)、あるいは発達に問題のある小児がスクリーニング時間が長いのか(発達→スクリーンタイム)不明である。
このため、スクリーニング時間と子供の発達の間の方向性を評価した。
方法
今回のコホート研究では、2011年10月20日~2016年10月6日に、カナダのアルバータ州カルガリーの母子2441人を対象に行われてた研究のデータを利用しています。
対象となったのは、生後24, 36, 60カ月の小児です。
スクリーンタイム(週あたりの時間)が、生後24, 36, 60か月時の発達にどう影響するか、母親を通して評価しています。
結果:
分析に含めた小児2441人のうち、 1227人 (50.2%) は男児であった。
24と36か月でスクリーニング時間が長い場合、それぞれ36か月(β、−0.06;95% CI:−0.10〜−0.01)と60か月(β、−0.08;95% CI:−0.13〜−0.02)での発達スクリーニングテストの成績に悪影響が認められた。
結論:
スクリーンタイムが長いと、幼児(2〜5歳)の発達に悪影響があるかもしれません。
長時間のスクリーンタイムによる潜在的な影響を相殺するためには、家族でのスクリーンタイムを管理・計画することが重要でしょう。
感想と考察
生後24か月・36か月の子供において、スクリーンタイムが長いと、36か月と60か月で子供の発達評価の尺度での悪い成績と関係していました。
こういった話をすると「もともと発達の遅れる要素のある小児がスクリーンタイムが長いのでは?」という因果の逆転を疑う方もいるようですが、この研究では因果の逆転は認められなかったようです。
幼児のスクリーンタイムが長すぎると、子供の発達能力が損なわれる可能性があることが示唆されています。
小児科医および医療従事者が適切なスクリーンタイムを保護者に指導し、過剰な使用の潜在的な悪影響についても、話し合うことが必要でしょう。
まとめ
今回の研究では、カナダのコホート研究において、スクリーンタイムと発達を評価しています。
生後24か月・36か月の子供において、スクリーンタイムが長いと、36か月と60か月で子供の発達評価の尺度での悪い成績と関係していました。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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