- 川崎病の治療はIVIGとASA
これは標準治療で、医学生でも知っている内容かもしれません。川崎病はガイドラインも充実しているのですが、一方で医師がガイドラインを遵守しているか否かは、あまりしられておらず、今回研究が行われたようです。
- 2015年日本からの報告
- 病院毎のガイドライン遵守率を推定
Guideline-Concordant Treatment of Kawasaki Disease With Immunoglobulin and Aspirin and the Incidence of Coronary Artery Aneurysm
日本から報告された観察研究ですね。川崎病の基本はIVIG + ASAで、心エコーで冠動脈をフォローする必要があります。
研究の概要
目的:
川崎病 (KD) のガイドラインは、免疫グロブリン静注(IVIG)および心エコー検査を推奨している。
しかし、病院における KD患者の治療とガイドラインの間での遵守率と冠動脈瘤の予防効果の関連性を評価した先行研究はない。
方法:
2010年~2013年のKD患者を、日本全国入院データベースで同定した。
ガイドラインの一致率は、免疫グロブリン+アスピリンによる治療、心エコー検査を受けた患者の割合として定義し、四分位に分けた。
多変量ロジスティック回帰分析を行い患者背景を調整し、ガイドライン一致率と冠状動脈瘤の発生率の関連性を検討した。
結果:
合計で、 20,156名のKD患者を同定した。
ガイドライン遵守率が非常に高い (>83.3%) 群は、非常に低い (<59.0%) 群より、冠動脈病変のリスクは低い傾向を示した(4.9%対9.9%; OR 0.45; 95%CI、0.27〜0.74)。
結論:
KDの全患者はガイドラインに従って治療されるべきである。
考察と感想
ガイドラインの推奨と実際に医療者が行う治療には隔たりがあることがあります。
これは様々な理由とは思いますが、不要な治療のばらつきはなくしたほうが、患者の健康アウトカムは改善し、医療費を抑制できるかもしれません。
もちろん、例外的な治療をしてはいけないわけではありません。ですが、基本をきっちり押さえておく必要はあるでしょう。
まとめ
日本で行われた川崎病患者を対象にした観察研究です。
ガイドラインの遵守率の低い病院は、冠動脈病変のリスクが高い傾向にあったようです。
標準治療を医療者がしっかり遵守することも重要なのでしょう。
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