科学的根拠のある子育て・育児

乳幼児の肥満に影響がありうるライフコース因子は?[オーストラリア編]

スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。

この理由の1つとして、小児の肥満予防があります。

テレビの視聴時間、母乳・固形食のタイミング・母親の妊娠中の体重などが影響しているようです。

これを検討した研究になります。

ポイント

  •  スクリーンタイムと2歳児のBMIの関連性を調査
  •  スクリーンタイムが長いほど、BMIが上昇する傾向があり
  • 母乳・固形食のタイミング・母親の妊娠中の体重してBMI上昇と相関
マミー
マミー
スクリーンタイムってどうなのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。

オーストラリアも似たような方針を出しています。

 研究の概要

背景・目的:

2歳の子供のBMIおよび過体重/肥満を予想する、早期の生活因子を検討した。

方法:

330人の初産婦と新生児について前向きコホート研究を行った。

小児の体重と身長は2歳時に測定し、乳児の食習慣、子供の果物/野菜の消費、およびテレビ (TV) 時間などは母親の報告に基づいて記載した。

さらに、母親の人口統計学的データ、体重と身長、および喫煙状態を対面インタビューにより研究開始時に収集した。

多重線形およびロジスティック回帰モデル使用し、2歳時のBMIまたは過体重/肥満を予測する因子を決定するために実施した。

結果:

最終的に、2歳時に242人が研究に残った(ドロップアウト率27%)。

小児の平均 (SD) BMIは16.87 kg/m^2 (1.62) で、 14%は過体重/肥満と分類された。

正常BMIを予想する因子は、

  • 母親の健康な妊娠前の体重状態
  • 長い授乳期間
  • 少ないTV視聴時間
  • 低出生体重

であった。

子供の過体重/肥満状態を予想する因子は、より短い授乳期間、固形食のより早い導入、および母親の過体重・肥満であった。

結論:

2歳では、他の因子を調整した後、長い授乳期間はより低いBMIと関係したが、長いTV視聴時間はより高いBMIと関係した。

固形物の早期導入と母体の過体重/肥満は、こどもの過体重/肥満と独立して関連していた。

考察と感想

母乳、母親の妊娠中の体重、テレビの視聴時間、離乳食の開始時期といった、一般的にいわれる内容が、今回の研究でも浮き彫りになった印象です。

テレビ視聴に関しては、1週間あたり1時間(1日ではないです)増えるだけで、BMIに少し影響するようです。欲をいえば、dose-response 曲線をだしてほしかったですね。

Dr.KID
Dr.KID
2歳未満にTVなどスクリーンタイムがNGとする理由の1つになっているようです。

まとめ

2歳の幼児に関して、肥満・過体重と関連するライフコース因子を調査した研究でした。

テレビの視聴時間が長いと、BMIが上昇する傾向にあったようです。

テレビ以外の因子としては、母乳・固形食のタイミング・母親の妊娠中の体重なども影響しているようです。

 

乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓

スクリーンタイムのまとめnote

乳幼児のスクリーンタイムの考え方

created by Rinker
¥1,725
(2024/11/23 17:05:28時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/23 01:18:29時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。