スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
この理由の1つとして、小児の肥満予防があります。
食事中にテレビをみていると、気が散ってしまい、満腹感が感じづらくなり、結果としてエネルギー摂取量が増加する可能性があります。
今回は、この点をみたランダム化比較試験です。
- 食事中にテレビをみると、エネルギー摂取量が増加するか?
- 9〜14歳において、ランダム化比較試験を実施
- テレビ視聴をすると、エネルギー摂取量が200 kcal以上多く摂取した
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
テレビ視聴は、小児において肥満発症の寄与因子と考えられている。
一方で、テレビ視聴によってエネルギー摂取増加が生じ、その結果として肥満のリスク上昇に寄与するかは不明である
方法:
本研究では、9〜14歳の男児を対象に行われた、ランダム化・クロスオーバー研究である。
2 x 2 Factorial designによって、
- 食事時のTV視聴
- 食事前のブドウ糖飲料負荷
が食事摂取量 (FI)・エネルギー摂取量にあたえる影響を推定した。
別々の朝4回でに、無作為の順序で、以下の2 x 2 の朝食摂取をした。
前負荷 | TV視聴 |
Splenda sucralose (人工甘味料) |
あり |
ブドウ糖 | なし |
前負荷は、250 mLの水に人工甘味料またはグルコース[1.0 g/kg体重 (BW)]を使用した。
朝食にはピザを用意し、満腹になるまで食べるように指示をした。
結果:
ブドウ糖前負荷とTV視聴は食事摂取量・エネルギー摂取量に影響した (kcal) 。
TV視聴はエネルギー摂取量を平均228 kcal増加させた。
一方で、グルコース前負荷はTVを視聴していない条件であればエネルギー摂取量を抑制したが、その効果はTVV時には統計学的に有意ではなかった。
結論:
食事中のTV視聴は、正常な満腹刺激を減少させることにより、エネルギー摂取の増加に寄与するかもしれない。
考察と感想
「食事中にTVはダメ」は、ひょっとしたら昔から言われていた、おばあちゃんの知恵袋かもしれませんが、科学的にも証明されそうですね。
TVをみることで、満腹感が鈍ってしまい、結果としてエネルギー摂取量が増えてしまうようですね。
今回は9〜14歳のため、一般化可能性の問題がありそうですが、乳幼児でも同様な結果が得られそうな印象があります。
まとめ
9〜14歳において、テレビ視聴がエネルギー摂取量にあたえる影響をランダム化クロスオーバー試験で検証しています。
食事中にテレビを視聴すると、満腹感を感じるタイミングが遅くなり、結果的にエネルギー摂取量が増加する傾向にあったようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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