スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。なた、2〜5歳に関しては、1時間未満が良いとされています。
この理由の1つとして、小児の睡眠不足があります。
テレビをみると、それだけで睡眠時間を直接奪ってしまうことがあります。
また、テレビを介して、精神的な負担を増大させ覚醒したり、テレビの光への暴露は、睡眠の開始、持続時間、質に悪影響を及ぼす可能性があるといわれています。
今回は、この点をみたコホート研究です。
- テレビの視聴時間、寝室へのテレビ設置と睡眠時間の関連性を評価
- テレビ視聴が1時間ながくなると、平均して7分睡眠時間が減る
- マイノリティーの人種・民族では、テレビを寝室に設置すると、睡眠が30分減少する傾向
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
オーストラリアも似たような方針を出しています。
研究の概要
背景・目的:
テレビの長時間の視聴と睡眠不足は、精神的および身体的健康不良と関連すると考えられている。
この研究では、幼児期から学童期までの小児において、テレビ視聴および寝室テレビと睡眠時間の関連を評価した。
方法:
Project Vivaというコホートを利用して、1864人の子供を研究した。
親たちは、子どもたちの1日の平均テレビ視聴時間と睡眠時間(生後半年、その後は1年毎に1〜7歳まで)、寝室用テレビの有無(4~7歳)を報告した。
混合効果モデルを用いて子供の年齢、性別、人種/民族、母親の教育、収入を調整し、 TV曝露と同時期の睡眠との関連性を評価した。
結果:
643人の子供 (35%) は、人種/民族的マにイノリティであった。世帯の37%は所得が70,000ドル以下であった。
生後6ヵ月から7歳の間に、平均 (SD) 睡眠時間は12.2 (2.0) 時間から9.8 (0.9) 時間に減少した。
同時期にテレビの視聴時間は1日0.9時間 (1.2時間) から1.6時間 (1.0時間) に増加した。
4歳時には17%が寝室にテレビを設置し、7歳時には23%に上昇した。
以上のデータをまとめると、こんな感じでしょうか:
生後 | 6ヶ月 | 4歳 | 7歳 |
睡眠時間 | 12.2 | 10.8 | 9.8 |
テレビ視聴 | 0.9 | 1.7 | 1.6 |
寝室に テレビあり |
N/A | 17% | 23% |
TV視聴の1日当たり1時間の増加は、1日当たり7分(95%信頼区間 [CI] :4~10)の短い睡眠と関連していた。
ベッドルームにおけるテレビ設置との関連性は人種/民族によって異なる;
人種/民族的マイノリティの子供の間では、寝室にTVを設置すると1日31分短い睡眠(95% CI:16~45)と関係していたが、白人家庭の子供の間ではほとんど関連していなかった(毎日の睡眠時間を8分短縮[95% CI:-19~2])。
結論:
テレビ視聴時間、および人種/民族的マイノリティの子供における寝室テレビの設置は、幼児期から小児期半ばまでのより短い睡眠と関連していた。
考察と感想
こちらの図のほうが解釈しやすいかもしれないですね:
(白人家庭:原著より拝借。一部改変)
1日平均1時間あたり睡眠時間が7分、つまり3時間で21分でしょうか。図をみても、ダッシュ線と実線でそのくらい離れている印象ですね。
まとめ
0〜7歳のコホート研究で、テレビの視聴時間、寝室へのテレビ設置と睡眠時間の関連性を調査した研究でした。
テレビの視聴時間が長引くなるほど、小児の睡眠時間は短くなる傾向がありました。また、一部のグループでは、寝室にテレビを設置すると、睡眠時間が30分ほど短くなる傾向にあります。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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