今回の研究は、イランで行われたIVIGと抗D免疫グロブリンを比較したRCTになります。
- イランで行われたIVIGと抗D免疫グロブリンを比較したRCTになります。
- IVIGのほうが治療反応性はよく、血小板数の回復が早い傾向にあったようです。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
この研究は、新しく診断された急性小児ITPの治療として、免疫グロブリン静注療法(IVIG) と抗D免疫グロブリンの効果および副作用を比較することを目的とした。
方法
- 新たに急性ITPと診断された
- 血小板数が2万/μL未満
- 6ヶ月〜14歳
の小児が対象となった。治療は、
- 75μg/kg抗Dの単回静脈内投与: 数分かけて投与
- 1 g/kg IVIGの2日間連続投与 (総投与量2 g/kg):6〜8時間かけて投与
のいずれかに無作為に割り付けた。
初期治療72時間後に血小板数が2万/μLを超えるかどうかを、奏効率として比較した。
結果
患者背景は、平均年齢は5歳3ヶ月、性別は男52人・女29人であった。治療は、抗D群 (n=42) とIVIG群 (n=39) に無作為に分けた。
結果は以下の通りでした:
抗D | IVIG | |
N | 42 | 39 |
治療前 血小板 |
1.54万/μL | 1.52万/μL |
72時間後 血小板 > 2万 |
76% | 98% |
7日後 | 88% | 100% |
結論
小児の急性ITPでは、静脈内抗D (75μg/kgの単回投与)と比較して、 IVIG (2 g/kgを分割投与)による初期治療は、より速く血小板数を増加させる傾向にあった。
考察と感想
イランからの2008年の報告ですが、治療はステロイド中心からIVIGあるいは抗D免疫グロブリンに推移していたようです。
抗D免疫グロブリンのメリットとして、IVIGのように点滴の留置が必要なく、外来で治療が可能、コストがやや低いといった点が、本文で強調されてはいました。
まとめ
今回の研究は、イランで行われたIVIGと抗D免疫グロブリンを比較したRCTになります。
IVIGのほうが治療反応性はよく、血小板数の回復が早い傾向にあったようです。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
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