書評

[読書日記] 2020年7月に読んだ書籍 [Dr. KIDの本棚]

7月の読書は以下の4冊です:

  •  寄り道呼吸器診療
  •  乳幼児の発達障害診療マニュアル
  •  医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本
  •  誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた

忙しいながらも、空き時間を見つけてコツコツと読むことができました。

本の紹介と感想は以下の通りです。

 

「寄り道」呼吸器診療 | 倉原優

倉原優先生の最初の書籍として有名な本です。

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立ち止まって、悩んで、また歩き出す。
臨床がおもしろくなる77の寄り道

気管支鏡時の抗菌薬にエビデンスはあるのか?
気管支鏡の前投薬・鎮静薬は何をどのように使えばよいか?
酸素療法に対する患者さんの羞恥心を軽減する方法は?
鼻腔高流量酸素療法(ハイフローセラピー)のエビデンスは?
結核患者さんとどのくらい接触したら自分にも感染してしまうのか?
妊婦・授乳婦の気管支喘息治療のエビデンスは?
気管支喘息発作に対する全身性ステロイドの最適量は?
患者さんへの吸入手技の指導はどのようにするのか?
慢性間質性肺疾患の患者さんに外科的肺生検は必要か?
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断基準の歴史とは?
慢性過敏性肺炎の治療にエビデンスはあるのか?
胸腔ドレーン抜去前のクランプテストにエビデンスはあるのか?
癌以外の呼吸困難感にモルヒネを使用してよいか?
鎮咳薬で最も効果的なものは?
去痰薬の使い分けは?
過換気症候群にペーパーバッグ療法はだめなのか?
吃逆の治療のエビデンスは?
―など計77の疑問を解説!

A5判

目 次
A 気管支鏡
B 酸素療法 ・人工呼吸
C 感染性肺疾患
D 閉塞性肺疾患
E 間質性肺疾患
F アレルギー性肺疾患
G 塵肺
H 胸膜疾患
I 肺癌
J 高齢者・終末期
K その他
TIPS(コラム)
付録
・吸入薬一覧
・吸入補助器具一覧

感想

クオリティーが高すぎで驚きました。リアルタイムで書いたコメントはこちら↓↓

前回、私も本1冊書くのに200本以上論文を読み込みましたが、おそらく倉原先生はその3倍以上読んでこの本を執筆されていると思います。

あと、小児科の内容も読んでます。日本の小児科医で、成人の論文もきちんと読んでる方、すごく少ないんじゃないでしょうか。少なくとも私はあまり読んでいませんので、反省しました。内科の本もきちんと読みます。

「子供は小さな大人ではない」ってドヤ顔で言っても、内科の勉強をしない理由にはならないと思います。

内科で行われている治療は、早かれ遅かれ、いずれ小児科でも行う必要が出てくるケースが多いです。小児科が総合診療であれば、なおさら、小児科だけでなく、成人でもどのようなトレンドにあるのかを把握することは重要なのではないでしょうか。

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乳幼児の発達障害診療マニュアル
健診の診かた・発達の促しかた

乳幼児の異常を早期にみつけるためのエッセンスと、発達の促しかたを伝授!
発達障害のエキスパートの目と技、診療のコツを伝授! 乳幼児の発達異常を早期にみつけるためのエッセンスとお母さんに伝えたい「発達を促すアドバイス」「家庭で気にかけてほしいポイント」をわかりやすく紹介。健診で「様子をみましょう」と保護者に伝える際、その後に適切な言葉を続けなければ早期発見・介入の機会を逃すことに。本書には、その「次の一言」のヒントがあります。乳幼児健診にかかわる全ての医療者に贈る一冊。

感想

こちらの本は、以前読んだものですが、再読してみました。

すごくシンプル・実用的な本で、健診や発達の導入編としては本当に良い本だと思います。小児科医だけでなく、健診に関わる医療スタッフも読んだ方が良いです。

医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本

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金原出版
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●「統計はよくわからないから読み飛ばす」。本当にそれでいいのか?
操作変数法、不連続回帰デザイン、マルチレベル分析……。
近年、医学研究に用いられる統計手法が極めて高度化している。
医学論文を斜め読みせず真に理解するには、臨床医学の進歩だけでなく統計学の進歩もキャッチアップしなければならない。
日々進化する難解な統計手法を「臨床家目線」で解説した、すべての臨床家必携の一冊!

【目次】
イントロダクション 臨床疫学・統計学の基礎から応用へ
第1章 傾向スコア分析の応用 ―未測定交絡を傾向スコアで調整できる?
第2章 操作変数法 ―究極の擬似ランダム化
第3章 不連続回帰デザイン ―HPVワクチンで無防備な性交が増える?
第4章 差の差分析 ―ポケモンGOで健康になれる?
第5章 時間依存性交絡と周辺構造モデル ―重症熱傷患者に対する気管切開術の効果は?
第6章 感度分析 ―見方を変えれば姿が変わる?
第7章 生存時間分析における競合リスクモデル ―死ねば人工呼吸から離脱できる?
第8章 欠側データの取り扱いと多重代入法 ―データが欠けている患者は解析から除く?
第9章 マルチレベル分析 ―患者は病院の色に染まる?
第10章 症例対照研究,マッチド・ペア・コホート研究 ―統合失調症患者はがん診断が遅れる?
第11章 自己対照研究デザイン ―インフルエンザが急性心筋梗塞のリスクを高める?
第12章 臨床予測モデル ―10年以内に心血管イベントが起こる確率は?
第13章 機械学習 ―アルゴリズムは経験知を超えるか?
第14章 データベースにおけるバリデーション研究 ―リアルワールドデータを理解するために

感想

回帰分析などは理解できたけど、次のステップに行けないでいる方にとっては、確実に後押しになる本当思いました。まずは概念を理解するのが大事で、この本を読めばそこは掴めてくると思います。

あと、参考文献は結構有名どころが多いので、読んだ方がいいです。私も結構読んだものが多くて、同業者の方々は同じような文献を読むものだなーと関心しました。

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誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた

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医学書院
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『誰風邪(だれかぜ)』の愛称で親しまれる大ベストセラー書が,満を持して7年ぶりの大改訂。

初版で圧倒的な支持を得た,プライマリ・ケア現場における「風邪と重篤な疾患との見極め方」に磨きをかけたのみならず,高齢者の風邪診療や薬剤耐性菌など診療現場を悩ませる重要課題にも明快に処方箋を示した。

プライマリ・ケアの足元で感染症診療の定説が揺らいでいる今,日々の「風邪」診療における12の戦略が明日の医療を変える!

感想

内科の知識がほとんど吹っ飛んでいるので、鑑別診断などついていくので精一杯でした。

エビデンスだけでなく、実臨床でも活かせるように配慮されており、ベストセラーになる理由もよくわかりました。

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まとめ

2020年7月は4冊読めました(他にも読んでたかもですが…)

来月は以下の書籍+αを紹介する予定です:

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じほう
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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。