小児科

小児の慢性ITPの治療としてのリツキシマブは?[アメリカ編]

今回は、小児の慢性ITPにおいて、アメリカで行われた研究を紹介します。

この研究では、リツキシマブを使用した前向きのコホート研究になります。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

この研究では、慢性ITPの小児におけるリツキシマブの効果および安全性を検討した。

方法

2歳から19歳までの24例の血小板数 < 3万/μLを対象に、リツキシマブ 375 mg/m^2́を毎週1回、4週間にわたり投与した。

血小板の反応性は以下の通りに定義した:

  • 完全寛解 (CR) : 血小板 > 15万/μL
  • 部分寛解 (PR) : 血小板 5万~15万/μL
  • 最小寛解 (MR): 血小番数が2万/μLを超えるも、ピークが3〜5万/μL
  •  反応なし:no response (NR) 

 

リツキシマブの投与量は以下の通りだったようです:

Rituximab (anti-CD20, Genentech, South San Francisco, CA) was infused at the standard dose of 375 mg/m2 weekly for 4 weeks.

Patients were premedicated with acetaminophen, diphenhydramine, and/or prednisone or solumedrol.

結果

24人の患者中15人 (63%) が4〜30か月持続するCRを達成した。

このうち9人は進行中であった。
2例はPRが4〜6ヵ月持続した;
2名は5〜8か月持続するMRを有し、 5名は反応しなかった。

Dr.KID
Dr.KID
15名は完全寛解、2名は部分寛解、2名は最小寛解、5名は反応なしということでしょうね。

初回投与時にそう痒、蕁麻疹、咽喉圧迫感(呼吸困難はない)が、少数の小児で発現した。

3人の患者は、それぞれ最初、2回目と3回目の注入後に血清病を示した。

感染の頻度や重症度の増加はみられなかったが、14例中6例で免疫グロブリンレベルが正常範囲以下となった。

結論

リツキシマブは、15例中9例(8例が6カ月以上継続)において完全寛解を示した。さらに、平均13か月持続する完全寛解が50%以上の小児に認められ、慢性ITPにおける有用な治療選択肢の1つとなる可能性がある。

一過性の血清病以外には実質的な有害作用は認められなかった。

考察と感想

アメリカで行われた研究のようですね。

本文を読んでいくと、4名は既に脾摘されていたようですね。ステロイド、IVIG、Anti-Dのいずれか2つ以上をうけている患者が多かったようです。

リツキシマブ投与前の全投薬として、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、ステロイドが使用されていたようです。その条件下で、掻痒感、のどの違和感、蕁麻疹、頭痛、共通は数名いないのようです。

Dr.KID
Dr.KID
先日紹介した論文は、前投薬についてはあまり詳細に書かれていなかったような気がします。

まとめ

今回は、小児の慢性ITPにおいて、リツキシマブを投与した場合の経過をおった研究です。

完全寛解に到達したのは63%、反応性がなかったのは約20%でした。

リツキシマブ投与に伴う副作用はそれぞれ、21名のうち数名程度で認められたようです。

 

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。