小児科

小児の慢性ITPにおいて、ピロリ菌の除菌は効果がある?[台湾編]

成人においては、慢性ITPにおけるピロリ菌の除菌効果は広く知られているかもしれません。

一方で、小児の報告は少なく、今回は中国で行われた研究を見つけたため、紹介させていただこうと思います。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

特発性ITPの疫学に及ぼす環境因子の影響についてはほとんど知られていない。

Helicobacter pylori感染が、ITPの発症および/または持続に与える役割は議論の余地がある。

H.pylori除菌に用いられる治療は、成人患者で血小板数の増加をもたらしている研究は、かなりの数がある。

しかし、この治療を評価するために行われた小児研究はほとんどない。

本前向き研究の目的は、小児慢性ITPにおいて、 H.pyloriの有病率を決定し、 H.pyloriの治療をすることで慢性ITPの期間を退縮させる可能性を言及することである。

方法

H.pylori感染の診断は、糞便中のH.pylori抗原に対する酵素免疫アッセイ (HpSA) を利用した。

対象とした慢性ITPの基準は、明らかな原因のない6か月以上の血小板減少症(50×10^9/ L)および骨髄巨核球数正常または増加とした。

H.pyloriの感染状態は、除菌前、4・12・24ヶ月後に便中抗原を利用してモニターした。

結果

22人の慢性ITP患者を評価し、そのうち9人はH.pyloriに感染していた。

HpSAの検査を反復して用い、全ての感染患者で治療後のH.pylori除菌を示した。

この9人の患者中5人は、追跡期間中に、持続する血小板数増加を認めた。

結論

これらの結果は、小児期の慢性ITPにおいて、H.pyloriの関与が示唆され、さらなる研究が必要と考えられる。

このアプローチは、少なくともこれらの患者の一部には受け入れられているアルゴリズムなのかもしれない。

考察と感想

慢性ITP患者において、ピロリ菌感染者とそうでない患者の経過をみています。感染者は全例、除菌されています。治療レジメンは以下の通りでした。

All H. pylori-infected children received a 7-d regimen of amoxicillin (50 mg/kg/d up to 1 g b.i.d.) combined with clarithromycin (15 mg/kg/d, up to 500 mg b.i.d.) and omeprazole (1 mg/kg/d up to 20 mg b.i.d.).

Participants with two consecutive negative HpSA results were considered to have had a successful course of treatment and were included in further surveillance.

ピロリ菌
感染
あり なし
N 9 13
血小板回復    
 あり 5
(55.5%)
0
(0%)
Dr.KID
Dr.KID
感染→除菌のグループと、そもそも感染していないグループの比較は、ナンセンスかもしれないですね。

やはり、感染グループにおいて、除菌ありvs.なしでRCTをするのが妥当でしょうが、単施設では難しそうですね。

まとめ

今回は、慢性ITPでピロリ菌を感染していた小児に治療た研究です。

除菌した9名のうち5名は血小板数の上昇を認めたようです。

治療効果の検討は、多施設で症例を集めたRCTが望まれます。

 

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。