ITPの診断は基本は臨床診断ですが、抗血小板関連抗体の存在は、以前から言われています。
今回は、この検査が診断の一助になるか、感度・特異度の観点から見ています。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
ITPは、自己抗体により感作された血小板が網内系により破壊される疾患である。
血小板関連IgG (PAIgG) を測定するアッセイは感度はそこそこ高いが、特異度が低いことが知られている。このため、ITPの診断は臨床的に行われている。
この研究では、特異的血小板糖蛋白質 (GP) に対する抗体を測定するアッセイは、特異度を改善される可能性があるという新たな情報を提供する。
方法
この報告では、 2種類の前向き試験を報告する。
最初の研究では、 81人(49名はITP; 32名は非免疫性の血小板減少)の患者検体でGP IIb/IIIaに対する自己抗体の存在を探す2種類の蛋白質特異的分析(ACおよびMAIPA)を比較した。これらの結果をPAIgGの免疫放射定量分析と比較した。
2つ目の研究は、 76名の患者試料における抗GP Ib/IX自己抗体測定の増強感度を検討した。
結果
検査 | 感度 | 特異度 |
蛋白質特異的分析 | 39% | 91% |
PAIgG分析 | 78% | 19% |
蛋白質特異的分析は、免疫と非免疫血小板減少症を区別できたが(特異度91%、感度39%)、 PAIgG分析は区別できなかった(特異度19%、感度78%)。
Ib/IX ACアッセイの追加は92%の特異性を維持し、診断感度を66%に増加させた
PAIgGアッセイとは異なり、糖蛋白質アッセイを用いた検査は、血小板数とコントロールが陽性となる可能性の間に相関は認めなかった。
結論
これらの研究は、糖蛋白質アッセイがITPの診断テストとして使用できることを確認する。
考察と感想
最初の研究では、N = 81 (49 vs. 32)で検討を行い、感度・特異度は以下の分布のようです。
感度 | 特異度 | |
AC | 39% | 91% |
MAIPA | 39% | 91% |
IRMA | 78% | 19% |
(*AC = antigen capture: MAIPA = monoclonal antibody immobilization of platlet antigens; IRMA = immunoradiometric assay for PAIgG)
次の研究では、N = 82 (56 vs. 26)で検討を行い、感度・特異度は以下の通りです。
感度 | 特異度 | |
Anti IIb/IIIa | 57% | 96% |
Anti Ib/IX | 50% | 96% |
両方使用 | 66% | 92% |
それぞれの感度、特異度も本文中には記載されていました:
著者らは感度が上がったとは言ってますが、実際はかなり低いですね。
まとめ
今回は、免疫性の血小板減少において、血小板関連抗体の感度・特異度を、異なるアッセイで見ています。
抗 IIb/IIIaやIb/IX抗体に関しては、特異度は高いですが、感度は低い傾向のようでした。2つ組み合わせても感度は66%程度です。
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