ITPの診断は基本は臨床診断ですが、抗血小板関連抗体の存在は、以前から言われています。
今回は、慢性ITPにおいて、この検査が診断の一助になるか、感度・特異度の観点から見ています。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
ITPにおける抗リン脂質抗体 (APLA) の存在が報告されているが、その臨床的意義は明らかではない。
方法
この研究では、 異なるITPの臨床ステージ:
- 悪化/再発 (n=7)
- 安定 (n=14)
- 寛解 (n=19)
の40人が対象でAPLAを検討した。
- β2‐糖蛋白質1 (β2 GP 1)
- カルジオリピン
- ホスファチジルコリン
- ホスファチジルセリン
- ホスファチジルエタノールアミン
- 第VII/VIIa因子
という6つの標的抗原に対するIgGおよびIgM、APLAの両方を、ELISAにより測定した。
結果
APLAは、どの臨床ステージのITPでも共有してみられたが、その割合は異なった。
増悪で最も高く(86%陽性)、安定で中間であり (57%) 、寛解で最も低かった (42%)
増悪ではAPLAはIgGクラスが優勢であったが、安定疾患ではIgMが優勢であった。
寛解中、 APLAはしばしば検出不能になった。
APLAの頻度とタイターの両方は、寛解より増悪中に有意に高かった。
血小板数とほぼ全てのAPLAの間に逆相関があった(β2-GP1を除く)。
6人の患者のデータによると、 APLAは、出血の新しいエピソードと同時あるいは悪化と共に出現・上昇する傾向があり、寛解中に検出できなくなることを明らかにした。
結論
これら所見は、 APLAがITPの悪化と寛解に関わるか、血小板破壊の結果である可能性を示す。
考察と感想
抗リン脂質抗体 (APLA)の変動は、ITPの病勢とも関連してそうなデータでしたね。
まとめ
今回は、慢性ITPにおいて、抗リン脂質抗体 (APLA)を異なる検査で比較してます。
増悪で最も高く(86%陽性) 、寛解で最も低い(42%)検出率でした。
慢性ITPにおいて、これらの抗体がどのような役割などかは、今後の研究が必要でしょう。
(2024/11/21 21:33:22時点 Amazon調べ-詳細)
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし
知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。
感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/21 09:53:24時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/21 13:16:41時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。
(2024/11/21 13:16:42時点 Amazon調べ-詳細)
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/21 01:00:58時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています