ITPの診断は基本は臨床診断ですが、抗血小板関連抗体の存在は、以前から言われています。
今回は、慢性ITPにおいて、この検査が診断の一助になるか、感度・特異度の観点から見ています。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
免疫性ITP 患者における抗リン脂質抗体 (APAs) の病因的役割と臨床的重要性は不明である。
この研究では、 APAsの頻度および臨床的意義を検討した。
方法
82人の新しく診断されたITP患者を前向きに検討した。
患者はループス抗凝固因子 (LA) および免疫グロブリンG/M抗カルジオリピン抗体 (ACAs) の存在について評価された。
結果
31人の患者 (37.8%) は診断時にAPA陽性であった。
性別、初期血小板数、またはメチルプレドニゾロン療法に対する反応に関して、 APA陽性群とAPA陰性群の間に統計的有意差は認められなかった。
5年間の追跡後、 APA陽性(n=31)とAPA陰性(n=51) ITP患者の累積無血栓生存率は、それぞれ39%と97.7%であった。
ログランク検定により、これらの群の間に有意差が認められた(P = 0.0004)。
さらに、 LAはITP患者における血栓症発症の重要なリスクマーカーであった。
追跡期間中央値38か月後、 APA陽性のITP患者14人 (45%) は、抗リン脂質症候群 (APS) の臨床的特徴(血栓症や胎児喪失)を発症した。
APSのあるAPA陽性患者とAPSのないAPA陽性患者の間で初期血小板数、治療への応答、またはACA陽性に関して差はなかった。
LAに対する陽性率はAPSを発症したITP患者で高かった(相対リスク7.15;95%信頼区間、1.7~47)。
結論
結論として、この研究は、ITPの初期にAPA陽性を示した患者において、APSを発症しやすい傾向を示す。
ITP患者では、 APAの持続した存在は、将来のAPS発症の重要なリスク因子である。
考察と感想
16〜70歳が対象だったようですね。あらかじめ、SLEなど自己免疫疾患や悪性疾患は除外したうえでの研究のようです。
主に成人での結果で、小児においてAPAなどを検討する必要があるのかは、別の研究が必要そうですね。実際、私個人としては、あまり気にしたことがなかったです。
まとめ
今回は、成人の急性ITPにおいて、抗リン脂質抗体 (APA)を検査し、その後の経過を報告しています。。
ITPの初期にAPA陽性を示した患者において、APSを発症しやすい傾向を示していたようです。
小児において、同様の傾向があるかは、別に検討が必要とは思います。
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