ITP(免疫性血小板減少症)による出血の重症度の評価をどのように行うべきか、過去にも議論があったようです。
前回は、WHO、Bolton-MaggsとMoon、ITP Bleeding Scale、Buchananの使用した出血スケール、Mederiosらの出血スケールを中心に解説してきました。
別の指標が2002年にJournal of pediatrics使用されています:
今回は、こちらの評価をレビューした論文を解説します。
- 2002年に発表されたITPのBleeding Scale
- 妥当性の評価は行われている
Measurement of bleeding severity: a critical review. TRANSFUSION 2004;44:605-617.
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
Buchananのbleeding score [2002]
実際のスコアは以下のページの最後のほうに掲載しています:
果たして、このスコアの評価はどうでしょうか。
この研究では、小児ITPの24時間以内の出血の重症度を評価しています。
0~4のサブスケールを用いて部位別(口腔または皮膚出血または鼻出血)に出血の重症度を評価し、0~5のスケールを用いて全出血を評価しています。
観察者間の一致およびPLT数と出血の重症度の間の関係も評価しています。
この研究の結果
出血の重症度はPLT数と逆相関した。
κ統計量を用い、部位特異的および全体の出血スケールに対する観察者間の一致を評価した。
評価者間一致は口腔出血の評価で最も高く(k=0.76)、皮膚出血の評価で最も低かった(k=0.37)。
皮膚の出血での観察者間の一致率が低かった理由
後者の不一致の可能な説明は、新しい皮膚病変と古い皮膚病変を区別すること、および/または点状出血の数を推定することの困難さ、などがあげられる。
この研究の強み
この研究の強みには、以下の点があげられる:
- ITPでよくみられる出血の種類に対処するために特別にデザインされた;
- 皮膚出血よりも粘膜出血の方が重要であるとされる
- PLT数と出血の重症度との関係について検討されている
今後の展望
医師および看護師の評価の一部としてルーチンに使用されるのであれば、複数の観察者、ならびに異なる臨床経験および背景をもつ観察者による、さらなる研究が必要であろう。
他に検討すべき可能性のある側面として、重大な出血のリスクを推定し、治療法を決定する上で、このようなスコアリングシステムの役割がある。
考察と感想
個人的にはこの指標が一番気に入っています。
他の指標は曖昧な点が多かったですが、比較的クリアな印象でした。
まとめ
今回は2002年の観察研究で使用された、小児ITPの重症度分類について、どのように評価されているか解説しました。
他の指標より優れた点が多いですが、まだ課題はたくさん残っているようです。
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