- ワクチン接種後に赤く腫れ上がったり、熱が出るのが怖いです
- あらかじめ解熱薬を使用すると改善しますか?
ワクチン接種後には、痛みが生じたり、熱が出ることがあるため、解熱薬の使用を希望される方もいると思います。
また、あらかじめこういった副反応が起こらないよう「予防的に解熱・鎮痛薬を」と考える方もいるようですが、実際のところ予防効果は本当にあるのでしょうか。
今回は、1歳の小児において、解熱鎮痛薬がワクチン接種後の局所反応の予防に有効かを検討した研究をご紹介します。
- ワクチン接種後の局所反応に対して、解熱薬を予防的に投与することの是非を検討した論文
- 接種前後に使用すると、乳幼児の四種混合ワクチン接種においては発熱や局所反応の予防効果はあるかもしれない
- 抗体の獲得率は議論されておらず、不十分な検討
AJDC 1988;142:62-65
ワクチン接種直後の解熱薬使用は、抗体獲得に悪影響をもたらす可能性があります。このため、特別な事情がない限り、避けた方が良いと私が考えています。
解熱薬の使用は、ワクチン接種後の発熱や局所反応を予防する?
研究の背景/目的
ジフテリアおよび破傷風トキソイドと百日咳ワクチン接種後の反応に対する予防的アセトアミノフェンの効果を明らかにするために今回の研究が行われた。
研究の方法
82人の小児を対象に,予防接種前と接種3, 7, 12, 18時間後にアセトアミノフェンまたはプラセボのいずれかを二重盲検ランダム化法で投与した。
発熱および局所および全身反応をモニターした。
患者の体温が38.9°C以上の場合または中等度の疼痛がある場合には、既知のアセトアミノフェンへの切り替えが許可された。
研究の結果
全体として,アセトアミノフェングループの反応スコアは、プラセボグループと比較して、低い傾向にあった。 注射部位の発熱,不機嫌,疼痛の発生率はアセトアミノフェン投与により低下した。 アセトアミノフェンを投与された小児は、プラセボを投与された小児よりもアセトアミノフェンに切り替えられる可能性が低かった。
結論
本研究で与えられた予防的アセトアミノフェンは,ジフテリアおよび破傷風毒素および百日咳ワクチン後の発熱,疼痛,および不機嫌に対して緩和効果を有すると結論される。
考察と感想
アメリカで行われた研究のようですね。発熱とその他の有害事象の分布は以下の通りでした:
解熱薬 | プラセボ | |
発熱 | 32% | 53% |
痛み | 63% | 74% |
発赤 | 48% | 52% |
腫脹 | 45% | 54% |
いずれの項目も、解熱薬を使用したグループの方が良かったようです。
まとめ
今回は、アメリカで行われた研究で、ワクチン接種後の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)の使用が、乳幼児において発熱や局所反応などを軽減するか確かめています。
ワクチン接種直後に解熱薬を使用しても、発熱などの副反応を予防する効果はありそうでした。
一方で、ワクチン接種直後の解熱薬使用が抗体獲得率に影響するか検討されていないのが懸念点です。
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