- 便秘には野菜を
- 食生活を改善させましょう
と、便秘の治療の際に、医療者からアドバイスされることがあるかもしれません。あるいは、便秘に食物繊維が効く、というのは、すでにご存知の保護者の方々も多いかもしれません。
今回は、小児の便秘において、グルコマンナンを摂取させることで便秘が改善するかを検討した研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- グルコマンナンを使用したランダム化比較試験
- 便秘の改善効果は認められなかった
ポーランドからの報告です。
小麦ブランの摂取は小児の慢性便秘症に有効か?
研究の背景/目的
小児の便秘の治療法は満足のいくものではないことが多い。
本研究の目的は,機能性便秘に対する唯一の治療としてグルコマンナン (GNN) の有効性を評価することであった。
研究の方法
RomeIII基準に従って機能性便秘の3~16歳の小児をグルコマンナン[GNN (2.52 g/日)]またはプラセボを4週間受ける群にランダムに割り付けた。
研究の結果
80人の子供の中で, 72人 (90%) が試験を完了した。
主要アウトカムである治療成功(1週間に3回以上排便し,便失禁はない)は, GNN群(36例)とプラセボ群(36例)で同様であった(相対リスク0.95, 95%信頼区間0.6-1.4)。
GNN群では,便の硬さスコアは1週で高く(p<0.0001), 3週で低く(P=0.008), 2週と4週で同様であった。
便の頻度は3週でのみ高かった(P=0.007)。
腹痛の発現頻度はGNN群で1週目(P=0.04)と4週目(p<0.0001)で高かったが, 2週目と3週目では両群間に差はなかった。
結論
本研究で投与したGNNは,便秘の小児における治療成功の達成においてプラセボより有効ではなかった。
この試験はClinicalTrials.gov (http://clinicaltrials.gov), number NCT01151878に登録された。
考察と感想
ポーランドで行われた研究でした。以前もグルコマンナンが小児の便秘に有効か検証した研究はありましたが、いずれも他の下剤を併用していた点が欠点として挙げられます。このため、今回の研究では、3〜16歳の便秘症の小児において、グルコマンナンの単独投与が、プラセボ(マルトデキストリン)と比較して有効か検証しています。
治療の成功率に関しては、以下の通りでした:
グルコマンナン | プラセボ | |
成功 | 20 | 21 |
失敗 | 16 | 15 |
合計 | 36 | 36 |
ほぼ一緒ですね。
追加で浣腸が必要であった割合も比較しています:
グルコマンナン | プラセボ | |
第1週 | 9 (25%) | 11 (30%) |
第2週 | 9 (25%) | 10 (27%) |
第3週 | 6 (17%) | 10 (27%) |
第4週 | 9 (25%) | 8 (22%) |
こちらもほぼ同じですね。
まとめ
今回は、ポーランドから報告されたグルコマンナンの介入試験です。
慢性便秘症のある小児を対象に、グルコマンナンを投与しても、便秘症の改善は望めない結果でした。
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
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