- 便秘には野菜を
- 食生活を改善させましょう
と、便秘の治療の際に、医療者からアドバイスされることがあるかもしれません。あるいは、便秘に食物繊維が効く、というのは、すでにご存知の保護者の方々も多いかもしれません。
今回は、小児の便秘において、食物繊維とラクツロースの有効性を比較検討した研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 食物繊維とラクツロースを比較した論文
- ほぼ同等の効果であった
オランダからの報告です。
食物繊維が便秘症の原因か?逆に便秘症の結果、食物繊維摂取が低下しているのか?
研究の背景/目的
便秘は小児において一般的な問題である。第一選択の治療として,食物繊維の増量がしばしば提唱される。
しかし,著者らの知る限り,小児便秘における食物繊維の効果を評価した大規模研究は発表されていない。
研究の方法
前向きで二重盲検ランダム化比較試験を行った。
患者は
- 食物繊維が混ぜられたヨーグルト飲料
- ラクツロースが混ぜられたヨーグルト飲料
のいずれかを摂取した。
1週間のベースライン期間の後,患者を8週間治療し,その後4週間の減量を行った。
ポリエチレングリコール3350は3週間後に臨床的改善が認められない場合に追加した。
標準化した排便日誌を用いて,親は治療期間中の排便回数を記録した。
さらに,失禁頻度,便の硬さ,腹痛および鼓腸,追加投薬の必要性,および便の乾燥重量を記録した。
研究の結果
合計147人の小児が適格であった。12人の子どもたちが参加しないことを希望した。
残りの小児のうち、65人は繊維混合物による治療に、70人はラクツロースによる治療にランダム化された。
全部で97人の子供が研究を完了した。
排便回数(P=0.481)および便失禁回数(P=0.084)に関しては,治療期間後の群間に差は認められなかった。
しかし,便の硬さはラクツロース群でより軟らかった(P=0.01)。
腹痛および鼓腸スコアは同等であった(それぞれP=0.395およびP=0.739)。
治療期間中のステップアップ投薬の必要性は,味覚スコア(P=0.996)と同様に同等であった(P=0.657)。
重篤な副作用は認められなかった。
結論
食物繊維とラクツロースは小児便秘の治療において同等の結果を与える。
考察と感想
少し補足してみようと思います。
今回の研究は、オランダで行われたようです。1〜13歳の小児を対象に、便秘の治療として食物繊維が便秘の治療薬の1つであるラクツロースと同様の効果があるかを研究しています。
食物繊維には、
- 3.0 gのトランスガラクト−オリゴ糖
- 3.0 gのイヌリン
- 1.6 gの大豆繊維
- 0.33 gの耐性デンプン
が含まれていたようです。
研究期間は13週で、最初の1週はベースラインを記録する期間、次の8週は治療の期間、残りの4週は徐々に内服量を減らしていく期間でした。
アウトカムは以下の通りでした(原著のTable 3から):
食物繊維 N = 42 |
ラクツロース N = 55 |
|
排便の回数 (/週) |
7 | 6 |
便失禁 | ||
治療前 | 8 | 7 |
治療後 | 9 | 5 |
排便の性状 | ||
治療前 | 3.2 | 3.2 |
3週後 | 3.5 | 4.5 |
8週後 | 3.6 | 4.0 |
腹痛 | ||
治療前 | 1.59 | 1.58 |
3週後 | 1.58 | 1.43 |
8週後 | 1.49 | 1.39 |
食物繊維とラクツロースを比較しても、ほとんど同様の結果が得られているのがわかります。
まとめ
今回の研究は、便秘の治療として食物繊維とラクツロースを比較した研究です。
どちらの治療方針でも便秘の治療としては、ほぼ同様の効果を認めたようです。
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
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