科学的根拠のある子育て・育児

便秘のある小児は、水分摂取量が少なめというのは本当か?[イギリス編]

便秘のお子さんは、そうでないお子さんと比較して、異なる点がいくつかあるのは昔から知られています。例えば、

  •  野菜や果物の摂取量が少ない
  •  水分の摂取量が少ない

などがあげられます。

今回は、香港から報告された研究をご紹介します。

マミー
マミー
便秘のある小児の特徴ってなんですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
色々と論文が出ているようです。

Dr.KID
Dr.KID
一緒に読んでみましょう。

ポイント

  •  小児の慢性便秘を対象に行われた研究
  •  便秘のある小児の方が、飲水量はやや少ないかもしれない
  •  しかし、水分摂取量を増やせば便秘が改善するかはこの研究ではわからない

   香港からの報告です。

便秘のある小児は、野菜、果物、水分摂取量は少ない傾向?

研究の背景/目的

この研究では、小学生の機能性便秘には、どのような要因が関連しているかを調べる。

学童期の便秘は長期的な治療が必要であることから、医療研究者の間でも注目されている。

機能性便秘は原因となりうる因子が多く曖昧である。実際、医療現場での便秘への関心は常に予防よりも医学的管理に重きが置かれている。

研究の方法

本研究では記述的調査を元に解析が行われた。

調査は2008年3月に香港の1つの小学校で実施され、8~10歳の児童383名がアンケートに回答した。

調査では、人口統計学、便秘評価尺度、食生活および環境要因の3つの主要な変数を採用した。

Dr.KID
Dr.KID
香港のとある小学校の低学年が対象のようですね。

研究の結果

機能性便秘の生徒は7.3%であった。

年齢 < 10歳(p<0.001)、1日の水分摂取量(200ml/カップ)が3~4カップ(p<0.001)または5カップ(p<0.001)、果物や野菜を食べることを好む(p<0.001)の学生は、機能性便秘の可能性が低い傾向にあった。

結論

この知見は、機能性便秘の性質と予防のより深い理解を得るために、小児医療の専門家と保護者を支援する必要がある。

小学生とその親が機能性便秘に対処するのを助けるためには、機能性便秘の有病率とその寄与因子の特徴をよりよく知ることが必要である。

これにより、この問題に対するより良い理解と意識を提供することができ、小学生のために機能性便秘の罹患率を減少させ、機能性便秘の負の結果を減少させるための戦略を設定することが期待されている。

考察と感想

香港のとある小学校の小児(8〜10歳)が対象だったようです。

沢山データがあったので、水分のところだけ表にまとめてみました:

便秘 あり なし
N 28 355
飲水量(200ml/cup)    
1-2 cup/日 5 (18%) 22 (6%)
3-4 cup/日 9 (32%) 91 (26%)
5- cup/日 14 (50%) 240 (68%)
Dr.KID
Dr.KID
%を比較すると、それほど異なるようには見えませんが…。

強いて言うなら、便秘のあるお子さんの方が、飲水量が1〜4cup/日である割合が少し多いのでしょうかねぇ。

本文ではstepwise regressionとか使用されていますが、モデルがデータにオーバーフィットしてしまっているのかもしれませんので、あえてORなどは載せませんでした。

まとめ

今回の研究は、香港において、便秘のある小児とない小児の特徴を比較した研究です。

便秘のない小児と比較して、便秘のある小児は飲水量はほとんど変わらないか、やや少ない傾向にあったようです。

これらの因果に関しては、別の研究が必要と思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。