便秘のお子さんは、そうでないお子さんと比較して、異なる点がいくつかあるのは昔から知られています。例えば、
- 野菜や果物の摂取量が少ない
- 水分の摂取量が少ない
などがあげられます。
今回は、韓国から報告された研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 飲水量が少ないほど、便秘の有病率は高い傾向にあった
- しかし、水分摂取量を増やせば便秘が改善するかはこの研究ではわからない
韓国からの報告です。
生活習慣と便秘症はどのくらい関連しているのか?[台湾編]
研究の背景/目的
著者らの目的は、保育所に通う幼児における機能性便秘(FC)の発症に関連する危険因子を明らかにすることであった。
研究の方法
2016年1月に無作為に選ばれた3つの保育園に通園する25~84カ月の乳幼児を対象に,ローマIII基準に基づく質問票を用いた横断的調査を実施した。
質問紙の項目を便秘群と非便秘群にわけ、これらに関連しうる因子を統計的に比較した。
研究の結果
合計212名の子どもを対象とし、8.5%にFCが認められた。
多変量ロジスティック回帰分析の結果、
- 母親の便秘歴(オッズ比[OR]=4.1、95%信頼区間[CI]1.2~13.9)
- 1歳前の有痛性排便歴(OR=10.4、95%CI 1.1~101.3)
- トイレトレーニング中の有痛性排便歴(OR=28.9、95%CI 1.9~1.9
- 保育所での排便がないor困難(OR = 5,804.6、95%CI 134.4-250,718.4)
- 肉類の摂取なし(OR = 10.1、95%CI 1.2-88.1)
- 1日あたりの水分摂取量500mL以下(OR = 9.9、95%CI 0.9-99.5)
は、幼児における機能性便秘(FC)の強力な予測因子であった(P < 0.05)。
さらに、便秘症群は、
- 1日の屋外での遊び活動が2時間以下
- 生後24カ月以前に保育園に入園
- 1日の保育園への入園時間が6時間以上
- 授乳期間が6カ月未満
- 1日の食事が3食以下
- 1日の果物と野菜の摂取量が3食以下
と統計学的有意に関連していた(P < 0.05)。
結論
本研究の知見は,幼児の機能性便秘(FC)に関連する危険因子の予防,早期認識,早期介入において,保護者,保育士,臨床医の指針となりうる。
考察と感想
韓国の乳幼児が対象だったようです。
沢山データがあったので、水分のところだけ表にまとめてみました:
便秘症 | あり | なし |
N | 18 | 194 |
水分 | ||
< 500ml/日 | 12/17 (70.6%) |
60/180 (33.3%) |
< 200ml/日 | 2/12 (16.7%) |
35/112 (31.3%) |
ミルク | ||
< 500ml/日 | 1/18 (5.6%) |
7/191 (3.7%) |
< 200ml/日 | 5/18 (27.8%) |
37/187 (19.8%) |
1時点での調査ですので、「便秘のため水分が摂取したがらない」のか「水分を摂取しないから便秘になったのか」ははっきりとはわからないです。
まとめ
今回の研究は、乳幼児において、小児の便秘と特徴を比較した研究です。
水分摂取量が少ないほど、便秘と判断される小児は多い傾向にあったようです。
これらの因果に関しては、別の研究が必要と思います。
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
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