賢明な医療の選択

小児の虫垂炎における画像評価は超音波 or CT?[Choosing wisely]

今回は小児の虫垂炎における画像検査に関する推奨をご紹介しようと思います。

虫垂炎の画像検査の推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのかを考えてみようと思います。

 

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の虫垂炎の評価は、超音波とCT、どちらが良いのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
一般論としてはまず超音波でしょうが、それが可能かは、超音波実施の環境や人手など様々な要因で変化すると私は思います。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の虫垂炎における画像検査
  •  まずは侵襲性がなく、低コストの超音波; 次にCT
  •  この順に実施できるかは、医療を提供する環境によって異なる

   アメリカ放射線学会からのChoosing Wiselyから

小児の虫垂炎における画像評価は超音波 or CT?[Choosing wisely]

Don’t do computed tomography (CT) for the evaluation of suspected appendicitis in children until after ultrasound has been considered as an option.

Although CT is accurate in the evaluation of suspected appendicitis in the pediatric population, ultrasound is nearly as good in experienced hands. Since ultrasound will reduce radiation exposure, ultrasound is the preferred initial consideration for imaging examination in children. If the results of the ultrasound exam are equivocal, it may be followed by CT. This approach is cost-effective, reduces potential radiation risks and has excellent accuracy, with reported sensitivity and specificity of 94 percent.

超音波検査が選択肢として検討されるようになるまでは、小児の虫垂炎が疑われた場合の評価に、CTを行わないようにしましょう。

小児の虫垂炎疑惑の評価ではCTが正確ですが、経験豊富な人であれば超音波検査もほぼ同等の精度です。

超音波検査は放射線被曝を減らすことができるので、小児の画像検査では超音波検査が最初の検査として好ましいと考えられています。

超音波検査の結果が不明確な場合は、CT検査を行うこともあります。

この方法は費用対効果が高く、潜在的な放射線リスクを軽減し、感度と特異度が94%と報告され、優れた精度が示唆されています。

考察と感想

虫垂炎が疑われる症例で、まずは超音波検査をするというのは、一般論としては賛成です。
超音波検査に慣れた先生なら、正確に評価できるでしょうし、被爆もないため、優れた検査法と思います。

一方で、超音波検査は実施する人の技術に依存しており、慣れていない場合には、時間を要する割りに、不正確な結果となってしまうリスクもあります。

また、アメリカとは異なり、超音波の実施は技師さんではなく、小児科医が時間をかけて行わないといけないことがほとんどでしょう。

救急外来が混雑している場合など、時間や人手の制約で超音波が施行できないケースがある点は考慮しないといけないと思います。

Dr.KID
Dr.KID
何が適切かは、医療が実施される環境によって異なるのでしょう。

まとめ

今回は、choosing wiselyにおける、小児の虫垂炎の画像検査に関してご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/11/22 17:15:09時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/23 01:18:29時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。