今回は、呼吸器感染症で酸素需要のない小児に対する、酸素飽和濃度の持続モニターの診療方針に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
呼吸器感染症において、SpO2の持続モニターがどのような位置付けにあるのか、見解が述べられています。このため、知っておいても損はない内容と思います。
- Choosing wisely:呼吸器感染症において、SpO2の持続モニターに関して
- ルーチンで持続モニターを行わないように推奨されている
アメリカのSociety of Hospital Medicine – Pediatric Hospital MedicineからのChoosing Wisely
酸素需要のない呼吸器感染症の小児において、SpO2の持続モニターをルーチンで行わない[Choosing wisely]
Don’t use continuous pulse oximetry routinely in children with acute respiratory illness unless they are on supplemental oxygen.
The utility of continuous pulse oximetry in pediatric patients with acute respiratory illness is not well established. Use of continuous pulse oximetry has been previously associated with increased admission rates and increased length of stay. The clinical benefit of pulse oximetry is not validated or well documented.
急性呼吸器疾患の小児には、補助的に酸素投与している場合を除き、ルーチンでパルスオキシメトリの持続モニターを使用してはならない。
急性呼吸器疾患の小児患者における連続パルスオキシメトリの有用性は十分に確立されていない。
連続パルスオキシメトリの使用は、以前に入院率の増加や入院期間の延長と関連していた。パルスオキシメトリの臨床的有用性は検証されていないし、十分に文書化されていない。
考察と感想
酸素投与が必要ないくらいの重症度の呼吸器感染症の小児に、SpO2の持続モニターが必要かという趣旨の見解と思います。
酸素需要のないお子さんの呼吸器感染症で、SpO2を持続的にモニターをしても、簡潔的に計測しても、臨床的にはほとんど差がなかったという結果が過去にいくつかあったことを受けての発表でしょう。
参考文献はガイドラインでしたが、そこをさらに辿るといくつかの文献を見つけることができました。
まとめ
今回は、呼吸器感染症で酸素需要のない小児に対する、酸素飽和濃度の持続モニターに関してchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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