賢明な医療の選択

2~24ヵ月の初発の熱性尿路感染症(UTI)では、排尿時膀胱尿道造影(VCUG)をルーチンにしない[Choosing wisely]

今回は、2~24ヵ月齢の小児において、初発の熱性尿路感染症(UTI)に対する排尿時膀胱尿道造影(VCUG)に関する診療方針に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の尿路感染に関して、VCUGの適応はどう考えたら良いのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の尿路感染症に対するVCUGの適応に関して
  •  まずは腎臓・泌尿器系の超音波を行う
  •  超音波で異常がある、UTIを再発するケースなどはVCUGを検討
  •  ルーチンで使用しないよう推奨

  アメリカのAmerican Academy of Family PhysiciansからのChoosing Wisely

2~24ヵ月の初発の熱性尿路感染症(UTI)では、排尿時膀胱尿道造影(VCUG)をルーチンにしない[Choosing wisely]

Don’t perform voiding cystourethrogram (VCUG) routinely in first febrile urinary tract infection (UTI) in children aged 2 -24 months.

The risks associated with radiation (plus the discomfort and expense of the procedure) outweigh the risk of delaying the detection of the few children with correctable genitourinary abnormalities until their second UTI.

2~24ヵ月の小児において、初発の熱性尿路感染症(UTI)では、排尿時膀胱尿道造影(VCUG)をルーチンに行わない。

放射線に関連するリスク(加えて、手技に伴う不快感と費用)は、修正可能な泌尿器系異常を持つ少数の子どもたちの発見を2回目のUTIまで遅らせるリスクを上回るものである。

考察と感想

VCUGのあり方についての見解でした。まずは超音波検査でスクリーニングをして、水腎などあるケースや、繰り返す感染の場合にVCUGを考慮したらどうか、という背景もあるようです。

例えば、2011年のPediatrics誌のガイドラインには、以下のような記載がありました:

Ultrasonography of the kidneys and bladder should be performed to detect anatomic abnormalities.

Data from the most recent 6 studies do not support the use of antimicrobial prophylaxis to prevent febrile recurrent UTI in infants without vesicoureteral reflux (VUR) or with grade I to IV VUR.

Therefore, a voiding cystourethrography (VCUG) is not recommended routinely after the first UTI; VCUG is indicated if renal and bladder ultrasonography reveals hydronephrosis, scarring, or other findings that would suggest either high-grade VUR or obstructive uropathy and in other atypical or complex clinical circumstances. VCUG should also be performed if there is a recurrence of a febrile UTI.

解剖学的異常を検出するために、腎臓と膀胱の超音波検査を行うべきである。

最近の6件の研究から得られたデータでは、膀胱尿管逆流(VUR)のない乳児、またはグレードI~IVのVURを有する乳児における発熱性UTIの再発を予防するための抗菌薬の使用は支持されていない。

したがって、最初のUTIの後には、排尿膀胱尿路造影検査(VCUG)をルーチンに行うことは推奨されていない;VCUGは、腎・膀胱超音波検査で水腎症、瘢痕化、または高悪性度VURまたは閉塞性尿路症を示唆するその他の所見が認められた場合、およびその他の非定型または複雑な臨床的状況の場合に適応となる。また、発熱性UTIの再発がある場合には、VCUGを行うべきである。

Dr.KID
Dr.KID
詳細に記載されていました。

この分野に私はあまり明るくないので、参考文献を中心に再度勉強しようと思いました。

まとめ

今回は、2~24ヵ月齢の小児において、初発の熱性尿路感染症(UTI)に対する排尿時膀胱尿道造影(VCUG)に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

 

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。