賢明な医療の選択

定期的な視力スクリーニング検査に合格した子供には、年に一度の総合的な眼科検診(眼科医の診察室で行う検査)は必要ない[Choosing wisely]

今回は、定期的な視力スクリーニング検査に合格した子供には、年に一度の総合的な眼科検診(眼科医の診察室で行う検査)に関する診療方針に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の視力検査に関して、どう考えたら良いのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の視力検査および眼科受診の適応に関して
  •  健診時の視力検査を中心にし、異常がある場合に眼科に紹介
  •  眼科医による診察はルーチンでは必要ないという推奨

  American Association for Pediatric Ophthalmology and StrabismusからのChoosing Wisely

定期的な視力スクリーニング検査に合格した子供には、年に一度の総合的な眼科検診(眼科医の診察室で行う検査)は必要ない[Choosing wisely]

Annual comprehensive eye exams (exams done in an eye doctor’s office) are unnecessary for children who pass routine vision screening assessments.

Early childhood vision screening done as part of routine well-child care accurately identifies most children with significant eye problems who are otherwise asymptomatic. Annual comprehensive eye examinations increase financial costs, a child’s absence from school and parental time away from work, with no evidence that the comprehensive eye exams detect asymptomatic vision problems better than timely, methodical and recurrent screening efforts. Comprehensive eye exams are appropriate for children who do not pass a vision screening.

定期的な視力スクリーニング検査に合格した子供には、年に一度の総合的な眼科検診(眼科医の診察室で行う検査)は必要ない。

ルーチンなウェルチャイルドケア(健診)の一環として行われる幼児期の視力検査では、目に重大な問題を抱えているほとんどの子供を正確に発見することができますが、そうでなければ無症状です。

総合的な眼科検診は、定期的なスクリーニングの反復よりも、無症状の視力障害を発見できるというエビデンスはありません。

総合的な眼科検診は、健康診断で視力検査に合格していない子供に適しています。

考察と感想

眼科医による診察室での検査は毎年行う必要はないという内容でした。

背景として、アメリカの小児科では、年に1度は小児科に健診で受診して、身長・体重・視力検査を行います。これで異常があれば、眼科医に紹介して、専門的な総合検査を行っていただきましょう、という内容だと思います。

また、一般にアメリカでは眼科などのマイナー外科の外来へのアクセスは日本より良くなく、また受診時の医療コストも高いという背景もあるのだと思います。

Dr.KID
Dr.KID
医療の背景の違いを知った上での理解が必要そうですね。

まとめ

今回は、定期的な視力スクリーニング検査に合格した子供には、年に一度の総合的な眼科検診(眼科医の診察室で行う検査)に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

 

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/11/23 17:16:20時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/23 01:18:29時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。