便秘は生活の質と医療費に悪影響を及ぼすため、便秘の出現に関連する修正可能な因子を理解することは重要です。
今回は、アメリカ人を対象とした横断的全国代表研究では、自己申告による身体活動の量や種類が便秘と相関関係があるかどうかを調べた研究があったので、そちらを紹介しようと思います。
- アメリカのNHANESを利用した研究
- 身体活動と便秘症の関連性を検討
- 身体活動が低いほど、便秘症の症状のある傾向出会った
2020年に公表されたようです。
身体活動と便秘は関連している?[アメリカ編]
研究の背景/目的
集団レベルでは、身体活動が便秘と関連しているという研究結果が混在している。
本研究では、身体活動の量/種類が便秘と関連しているかどうかを横断的に調べた。
研究の方法
2007-2010年の国民健康・栄養調査(NHANES)に参加した9963人の成人を対象とした。
便秘は、
- 低頻度(3 便/週未満)
- 硬い/塊状の一貫性(Bristol Stool Form Scaleの1または2型)
に基づいて定義された。
単変量ロジスティック回帰モデルは身体活動変数と便秘との関連を評価し、多変量モデルはその他の変数(年齢、性別、教育、人種/民族、関係性、健康状態、肥満度指数、食物繊維摂取量、水分摂取量)を考慮して構築された。
研究の結果
便秘症の有病率
<3便/週に基づいて便秘症とみなした場合、アメリカ人の3.4%(95%CI、2.8%~4.2%)が便秘症であった。
一方で、硬い/塊状の定義を用いた場合には7.3%(95%CI、6.7%~8.1%)が便秘症であると考えられた。
便秘症と身体活動の関連性
1週間に3回未満の排便を基準に「便秘症あり/なし」と定義した。
この場合のオッズ比(OR)は、
- 活発なレクリエーション活動を行わない人では1.82(95%CI、1.11-2.97)
- 中等度のレクリエーション活動を行わない人では1.41(95%CI、1.08-1.85)
であった。
同様に、中等度のレクリエーション活動を行わない場合は、硬い/塊状の便のオッズがわずかに高かった(OR = 1.23、95%CI、1.03-1.46)。
これらの関連性の強さは多変量モデルでは減衰し、統計学的に有意ではなかった(すべてのORは1.45未満)。
結論
集団レベルでは、自己申告した身体的運動不足は、1週間に3便未満の排便、または硬い/塊状の便とは強く関連していない。
運動不足がさまざまな形態の便秘にどのように影響するかを明らかにするためには、より計画的な前向き観察研究および介入研究が必要である。
考察と感想
身体活動の変数ですが、二項変数にしたり(様々な種類の活動についてはいずれもなし vs. いずれかあり)、または順序変数(低、中、高の合計活動量)に分けたようです。
週の総活動量(MET-min/week)は、
- 低(<500MET-min/week)
- 中等度(500-2999MET-min/week)
- 高(≧3000MET-min/week)
の3つのグループに分類されています。
NHANESは横断研究になるので、関連の方向性についてはよくわからないと思います。今回の研究でいえば、身体活動の高い人が便秘が少ないのか、便秘でない人が身体活動が活発なのか、どちらかは分からないです。
また、身体活動の欠如は便秘と関連していたが、関連性は比較的弱く、交絡因子を調整した後にさらに減衰していたようですね。
まとめ
こちらは、アメリカの成人において、身体活動と便秘症の関連性を検討した横断研究です。
身体活動の低い人の方が、1週間の排便回数が少なかったり、硬い便であることが多い傾向にあったようです。
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