賢明な医療の選択

軽度から中等度の脱水症では、経口補水療法を試行する前に点滴をすることは避ける

今回は小児の軽症〜中等症の脱水症における診療方針に関するchoosing wiselyをご紹介します。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の脱水症のける輸液の適応はどう考えたら良いのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の脱水症における輸液の適応に関して
  •  軽症〜中等症の脱水症であれば、まずは経口補水を試す

  American College of Emergency PhysiciansからのChoosing Wisely

軽度から中等度の脱水症では、経口補水療法を試行する前に点滴をすることは避ける[Choosing wisely]

Avoid instituting intravenous (IV) fluids before doing a trial of oral rehydration therapy in uncomplicated emergency department cases of mild to moderate dehydration in children.

Many children who come to the emergency department with dehydration require fluid replacement. To avoid the pain and potential complications of an IV catheter, it is preferable to give these fluids by mouth. Giving a medication for nausea may allow patients with nausea and vomiting to accept fluid replenishment orally. This strategy can eliminate the need for an IV. It is best to give these medications early during the ED visit, rather than later, in order to allow time for them to work optimally.

小児の軽度から中等度の合併症のない脱水症で救急外来に受診された場合、経口補水療法を試行する前に静脈内(IV)輸液(点滴)を導入することは避ける。

脱水症で救急外来を受診した多くの小児は、水分補給を必要とします。
静脈内カテーテルの痛みと点滴による潜在的な合併症を避けるため、水分を経口投与することが望ましい。

吐き気止めの薬を与えることで、吐き気と嘔吐を伴う患者が経口での体液補充を受け入れることができるようになる場合がある。この方法では、点滴の必要性をなくすことができる。これらの薬を最適に作用させる時間を確保するためには、救急外来受診後からではなく、早い時期に投与するのが最善である。

考察と感想

軽症〜中等症の脱水症においての基本的な方針でした。まず経口補水液を試すのはセオリー通りではないでしょうか。

医療者側の立場から見ると、脱水症の重症度をきちんと評価する必要もあります。

また、吐き気止めの薬はオンダンセトロンを想定しているとは思いますが、日本の外来では一般的に使用されていないと思うので、その点の考慮が必要です。

Dr.KID
Dr.KID
ナウゼリン®︎やプリンペラン®︎の有効性は極めて限定的です。

まとめ

今回は、小児の軽症〜中等症の脱水症における診療方針に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

created by Rinker
¥6,600
(2024/11/21 16:57:28時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/21 01:10:36時点 Amazon調べ-詳細)

Dr.KID
Dr.KID
各章のはじめに4コマ漫画がありますよー!

noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

当ブログの注意点について

当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。