今回は、日本における学校閉鎖が、子どもや家族のアウトカムに与える影響を調査した研究を報告します。
この研究では、学校閉鎖が小児の健康、母親の不安、夫婦関係などにどのように影響したかを調査しています。
国内からの非常に貴重な論文と思います。
- 学校閉鎖が、子どもや家族のアウトカムに与える影響を調査
- 肥満や母親の不安は増大していた
- 夫婦関係に関しては影響は認められなかった
2021年3月に公表されたようです。
新型コロナ対策としての学校閉鎖は、子どもや保護者にどんな影響が?[日本編]
研究の背景/目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延を抑制するため、日本政府は2020年3月2日から小学校の閉鎖を突然開始した。
その一方で、保育園は全国的な閉鎖の対象外となった。
この自然実験を利用して、小学校の積極的な閉鎖が、子どもや家族の幸福に関連する様々なアウトカムにどのような影響を与えているかを検討した。
研究の方法
学校閉鎖がアウトカムに与える因果関係を明らかにするために、ある年齢閾値で学校に行く確率の月単位の不連続性を利用し、fuzzy regression discontinuity analysesを行った。
データは、第1子が4歳〜10歳までの第一子を持つ母親を対象とし、大規模なオンライン調査が行われた。
研究の結果
解析の結果:
- 子どもの体重が大きく増加している
- 母親の子育てへの不安が大きく増加している
ことが明らかになった。
また、家庭内暴力の発生率や結婚生活の質など夫婦関係に関するアウトカムについては、統計的に有意な変化は見られませんでした。
結論
これらの結果から、学校閉鎖は子どもたちの非学業的アウトカムに意図しない大きな悪影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
考察と感想
日本からの貴重な報告と思います。
小児に関わる職業の方は、この結果を知っておく必要があると思いました。
クロス・マーケティング株式会社というインターネット調査会社を利用して、事前登録した全国約479万人から無作為抽出を行い、調査期間は2020年7月22日から2020年8月19日までだったようです。
まとめ
この研究では、日本における学校閉鎖が、子どもや家族のアウトカムに与える影響を探っています。
結果ですが、子どもの体重が増加、子育ての仕方に対する母親の不安が増加していたようです。
一方で、夫婦関係(ドメスティックバイオレンスなど)への影響は認められなかったようです。
日本国内からの、非常に貴重なデータと思います。
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