新型コロナウイルスのワクチンが筋肉注射ということもあって、痛みを気にされている方もいるようですが、実際のところはどうでしょうか。
今回は、新型コロナではないですが、Hibワクチンの接種で筋注と皮下注を比較した研究があったので、ご紹介しようと思います。
- カナダの小児のHibワクチンの接種時に研究
- 皮下注射と筋肉注射で痛みを比較
- 啼泣する小児は、筋肉注射の方がやや多かったよう
Mark A, Carlsson RM, Granström M. Subcutaneous versus intramuscular injection for booster DT vaccination of adolescents. Vaccine. 1999 Apr 9;17(15-16):2067-72.
1999年に公表されたようです。
小児の予防接種は筋注と皮下注どちらが痛い?[スウェーデン編]
研究の背景/目的
ブースターワクチン接種における注射方法の違いによって、痛みや副反応のリスクが異なるかを検証した。
研究の方法
スウェーデンの 10 歳の学童 252 人を対象とした非盲検ランダム化試験で検討された。
対象となった子供たちは、生後3ヶ月、5ヶ月、12ヶ月の時点でDTワクチンの接種を受けていた。
副作用を2週間にわたって観察した。
研究の結果
メインのアウトカム
両群とも全身性反応の発生率は低かった。
筋肉内投与では発赤(p < 0.001)、腫脹(p < 0.001)、かゆみ(p < 0.01)、疼痛(p < 0.05)が有意に少なかった。
また、これらの反応は、持続時間も短かった(p < 0.01~p < 0.001)。
その他のアウトカムや比較
女子は男子よりも痛みとかゆみが多かった(p < 0.001)。
ブースターの2週間後に採取した99検体では、2つの投与経路間の抗体反応に有意差は認められなかった。
しかし、ジフテリアトキソイドに対する反応は男子よりも女子の方が低かった(p = 0.009)。
結論
ブースターに対する局所反応は、このように注射方法の選択によって大幅に減少させることができるかもしれない。
思春期および成人では投与量の増加あるいは使用する価数が増加する可能性があり、筋肉注射が必要となるかもしれない。
考察と感想
原著論文でデータの方も確認させていただきました。
痛みの有無は皮下/筋注ではほとんど同じですが、痛みの程度、発赤、腫れた期間、痒みは筋注の方が少ない傾向だったようですね。
まとめ
この研究では、スウェーデンの小児において、皮下注射と筋肉注射のどちらが痛みや副反応が少ないかを比較しています。
筋注の方が痛みの程度はほとんど同じで、発赤や腫脹などは筋注の方が少ない傾向にあったようです。
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