小児科

効力の異なるステロイド外用薬は有効性が異なる?[イギリス編]

現時点ではアトピー性皮膚炎など多くの皮膚疾患での治療の基本は保湿とステロイド外用薬です。

ステロイドを避けるような製剤がありますが、有効性についてはどうでしょうか。

今回は、この点の論文を紹介します。

マミー
マミー
アトピー性皮膚炎などで使用される外用薬って安全ですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
古くから沢山の研究があります。

Dr.KID
Dr.KID
一緒に見てみましょう。

ポイント

  •  小児のアトピー性皮膚炎において行われた後ろ向き研究です。
  •  一般的には効力の強いステロイド外用薬の方が皮膚を改善させる傾向にあったようですが、そうではない場合も。
  •  抗菌薬外用薬の使用に関しては、ほとんど有効性がなかったようです。

   1998年に発表されたようです

効力の異なるステロイド外用薬は有効性が異なる?[イギリス編]

研究の背景/目的

アトピー性皮膚炎の治療のために入院した患者に対して、最も効果的な外用療法を決定するために、異なるコルチコステロイド外用薬を左右に比較した結果を記録し、評価した。

研究の方法

1993年6月1日から1995年10月31日の間に、アトピー性皮膚炎の治療のために小児病院に入院した82名(66名の小児)を対象とした後方視的な研究である。

異なる外用コルチコステロイド軟膏が両側に塗布された。

一方の治療法が他方の治療法よりも優れているかどうかを見るための、アウトカムの指標を両側の比較であった。

Dr.KID
Dr.KID
Potencyの異なるステロイド外用、抗菌薬の使用、保湿剤など様々な製剤を比較したようです。

研究の結果

強力な副腎皮質ステロイド外用剤の方が弱い製剤よりも効果があると思われたのは25回、差がなかったのは20回、弱い製剤の方が効果があると思われたのは7回であった。

また,抗菌剤を配合しても有効性の増加は認められなかった。

結論

アトピー性皮膚炎の管理は、重症度の自発的な変動が大きく、新しい治療法が有効であるかどうかが不明瞭である。

また、皮膚病変の偶然の再燃が、特定の治療法のせいであると誤って判断され、破棄されてしまうこともある。

異なる外用剤を体の反対側で同時に比較することは、アトピー性皮膚炎の患者にとって最適な治療法を決定するための実現可能で合理的な方法である。

考察と感想

後ろ向きの研究で、左右に異なる軟膏を塗った場合の比較ですので、解釈が難しいですね。というのも、左右で異なる軟膏を塗るにしても、皮膚の状態が悪い方に強い薬を、そうでない方は弱い薬あるいは保湿剤を使用するからです。

理想的には、前向きに同一人物で左右に異なる軟膏を、盲検した状態で比較するのがフェアなのではないでしょうか。

論文にはTableもなく、やや解読に難がありました。

Dr.KID
Dr.KID
せめてTableによる提示はして欲しかったです。

まとめ

小児のアトピー性皮膚炎において行われた後ろ向き研究です。

一般的には効力の強いステロイド外用薬の方が皮膚を改善させる傾向にあったようですが、必ずしもそうではない場合もあったようです。

抗菌薬外用薬の使用に関しては、ほとんど有効性がなかったようです。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。