賢明な医療の選択

自己免疫疾患が強く疑われたり、特異的な症状がない限り、抗核抗体やその他の自己抗体検査をしない[Choosing wisely]

今回は、小児の抗核抗体の検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の抗核抗体の検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の抗核抗体の検査
  •  疑わしい病歴や曝露歴がない場合、検査をしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

自己免疫疾患が強く疑われたり、特異的な症状がない限り、抗核抗体やその他の自己抗体検査をしない[Choosing wisely]

Do not order antinuclear antibody (ANA) and other autoantibody testing on a child unless there is strong suspicion or specific signs of autoimmune disease.

The antinuclear antibody (ANA) has a high sensitivity for only one disease, systemic lupus erythematosus (SLE), but has very poor specificity for SLE and every other rheumatic disease. Therefore, it is not useful or indicated as a general screen of autoimmunity.

A positive ANA may occur secondary to polyclonal activation of the immune system following an infection, or it may be positive without any identifiable reason/disease in up to 32% of the population. Limiting patients on which to order ANA would reduce unnecessary physician visits and laboratory expenses as well as parental anxiety. “Lupus panels” and other similar panels should also not be ordered without concerns for specific autoimmune disease. Additionally, since the ANA may always be positive and may fluctuate in titer, it is not recommended to retest it unless there is some new clinical concern.

自己免疫疾患が強く疑われたり、特異的な症状がない限り、子供に抗核抗体(ANA)やその他の自己抗体検査をしない。

抗核抗体(ANA)は、全身性エリテマトーデス(SLE)という1つの病気に対して高い感度を持っていますが、SLEや他のすべてのリウマチ性疾患に対しては非常に低い特異性しかありません。したがって、自己免疫疾患の一般的なスクリーニングとしては有用ではなく、適応もありません。

ANAの陽性は、感染症の後の免疫系のポリクローナルな活性化に続いて起こるかもしれませんし、人口の32%までは特定可能な理由や病気がなくても陽性になるかもしれません。

ANAをオーダーする患者を限定することは、不必要な医師の診察や検査費用を削減し、親の不安を軽減することになる。また、”Lupus Panel “やその他の類似したパネルも、特定の自己免疫疾患の懸念がなければオーダーすべきではない。さらに、ANAは常に陽性であり、力価が変動する可能性があるため、新たな臨床的懸念がない限り、再検査は推奨されない。

考察と感想

小児の抗核抗体の検査に関してでした。

病歴が大事というのはその通りで、疑わしくない状態で検査をしても、偽陽性のリスク、それに伴う不必要な検査や治療につながる可能性があります。疑わしい病歴がなくても偽陽性となる割合が一定数いるようですね。

参考文献も読んでみようと思います:

Cabral DA, Petty RE, Fung M, Malleson PN. Persistent Antinuclear Antibodies in Children Without Identifiable Inflammatory Rheumatic or Autoimmune Disease. Pediatrics. 1992;89(3):441-444.

Deane PMG, Liard G, Siegel DM, Baum J. The Outcome of Children Referred to a Pediatric Rheumatology Clinic With a Positive Antinuclear Antibody Test but Without an Autoimmune Disease. Pediatrics. 1995;95(6):892-895.

Hilario MOE, Len CA, Roja SC, Terreri MT, Almeida G, Andrade LEC. Frequency of Antinuclear Antibodies in Healthy Children and Adolescents. Clinical Pediatrics. 2004;43:637-642.

Malleson PN, Sailer M, Mackinnon MJ. Usefulness of antinuclear antibody testing to screen for rheumatic disease. Arch Dis Child. 1997;77:299-304.

まとめ

今回は、小児の抗核抗体に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。