賢明な医療の選択

既往歴や家族歴のない健康な小児では、術前の凝固能検査をルーチンで行わない[Choosing wisely]

今回は、疑わしい病歴のない小児の術前の凝固能検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
疑わしい病歴のない小児の術前の凝固能検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:疑わしい病歴のない小児の術前の凝固能検査
  •  ルーチンではしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

既往歴や家族歴のない健康な小児では、術前の凝固能検査をルーチンで行わない[Choosing wisely]

Don’t perform routine pre-operative hemostatic testing (PT, aPTT) in an otherwise healthy child with no prior personal or family history of bleeding.

Preoperative hemostatic screening in healthy pediatric patients with no personal or family history of excessive bleeding does not effectively identify those who will have unexpected surgical bleeding. Artifacts or disorders that do not affect bleeding risk may be identified, such as factor XII deficiency or an infection-associated, transient lupus anticoagulant. Hemostatic testing adds cost and may introduce additional stress, either due to blood sampling or if a child has “abnormal” results.

出血の既往歴や家族歴のない健康な小児では、術前のルーチンの凝固能検査(PT、aPTTなど)を行わないこと。

過剰な出血の個人歴や家族歴のない健康な小児患者に術前の凝固能の検査を行っても、予期せぬ手術による出血を起こす患者を効果的に特定することはできません。

第XII因子欠損症や感染症に伴う一過性のループスアンチコアグラントなど、出血リスクに影響を及ぼさないアーチファクトが確認されることもある。 凝固能の検査にはコストがかかり、採血や子供が「異常」な結果を出した場合には、さらなるストレスが生じる可能性がある。

考察と感想

疑わしい病歴のない小児の術前の凝固能検査に関してでした。

どこまで検査をするかは、麻酔科や外科の先生と共通見解を作る必要があるので、小児科だけでは決められない面もあると思います。確かに、いわゆる健常なお子さんで、術前の凝固能検査にどれだけ価値があるかというのは、この記載の通りとは思います。

参考文献も読んでみようと思います:

Alzahrani A, Othman N, Bin-Ali T, Elfaraidi H, Al Mussaed E, Alabbas F, Sedick Q, Albatniji F, Alshahrani Z, Asiri M, Alsuhaibani O, Elyamany G. Routine Preoperative Coagulation Tests in Children Undergoing Elective Surgery or Invasive Procedures: Are They Still Necessary? Clinical Medicine Insights: Blood Disorders. 2019 Jan;12:1-4.

Bidlingmaier C, Olivieri M, Hütker S, Dietl S, Kurnik K. Perioperative management of hemostasis in children and adolescents. Blood Cells, Molecules, and Diseases. 2017 Jan;67:91-95.

Chee YL, Crawford JC, Watson HG, Greaves M.  Guidelines on the assessment of bleeding risk prior to surgery or invasive procedures British Committee for Standards in Haematology. British Journal of Haematology. 2008 Feb;140:496-504.

Cooper JD, Smith KJ, Ritchey AK. A cost‐effectiveness analysis of coagulation testing prior to tonsillectomy and adenoidectomy in children. Pediatric Blood & Cancer. 2010 Dec;55(6):1153-1159.

Cosmi B, Alatri A, Cattaneo M, Gresele P, Marietta M, Rodeghiero F, Tripodi A, Ansaloni L, Fusari M, Taddei S. Assessment of the risk of bleeding in patients undergoing surgery or invasive procedures: Guidelines of the Italian Society for Haemostasis and Thrombosis (SISET). Thrombosis Research. 2009 Nov;124(5):e6-e12.

Lescanne E, Chiron B, Constant I, Couloigner V, Fauroux B, Hassani Y, Jouffroy L, Lesage V, Mondain M, Nowak C, Orliaguet G, Viot A. Pediatric tonsillectomy: Clinical practice guidelines. European Annals of Otorhinolaryngology, Head and Neck Diseases. 2012 Oct;129(5):264–271.

van Veen JJ, Spahn DR, Makris M. Routine preoperative coagulation tests: an outdated practice? British Journal of Anaesthesia. 2011 Jan;106(1):1-3.

まとめ

今回は、疑わしい病歴のない小児の術前の凝固能検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。