今回は、小児の胸痛の精査としてのトロポニンに関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:小児の胸痛の精査としてのトロポニン
- 疑わしい病歴・ECGのみに使用すべき
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
疑わしい病歴や心電図異常がない場合に、小児の胸痛の評価にルーチンでトロポニンを使用しない[Choosing wisely]
Do not order troponins for the routine evaluation of pediatric chest pain in the absence of a concerning history or electrocardiogram (ECG) abnormalities.
Troponin-I levels are a valuable tool for the assessment of adult patients who present with chest pain. However, these levels are not as useful in the pediatric population. Troponin levels in the great majority of pediatric patients presenting with chest pain are normal. Furthermore, troponin levels have not been shown to reliably correlate with disease severity or prognosis in many cardiac diseases known to cause chest pain in pediatric patients.
However, in a few circumstances, such as a family history of very early cardiovascular disease or a history suggestive of myocarditis/pericarditis, consideration of troponin levels is reasonable. Therefore, do not order troponin levels for the routine evaluation of pediatric chest pain in the absence of a concerning history or ECG abnormalities.
疑わしい病歴や心電図異常がない場合に、小児の胸痛の評価にルーチンでトロポニンを使用しない。
トロポニンI値は、胸痛を訴える成人患者を評価するための貴重なツールである。しかし、小児の場合には、トロポニンI値はそれほど有用ではない。胸痛を訴える小児患者の大部分は、トロポニン値は正常である。さらに、小児の胸痛の原因として知られている多くの心疾患において、トロポニン値が疾患の重症度や予後と確実に相関することは示されていない。
しかし、ごく初期の心血管疾患の家族歴や、心筋炎・心膜炎を示唆する病歴など、いくつかの状況では、トロポニン値を考慮することは妥当である。したがって、小児の胸痛を日常的に評価する際には、気になる病歴や心電図異常がない場合には、トロポニン値を指示してはならない。
考察と感想
小児の胸痛の精査としてのトロポニンに関してでした。
疑わしい病歴やECGの異常がなければ検査しないと言うのは、その通りと思います。いくつか例外があることも知っておいた方が良いでしょう。
参考文献も読んでみようと思います:
Brown JL, Hirsh DA, Mahle WT. Use of troponin as a screen for chest pain in the pediatric emergency department. Pediatr Cardiol. 2012;33(2):337-342
Liesemer K, Casper TC, Korgenski K, Shaji SC. Use and misuse of serum troponin assays in pediatric practice. Am J Cardiol. 2012;110(2): 284-289
まとめ
今回は、小児の胸痛の精査としてのトロポニンに関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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