今回は、乗り物いに対して点鼻型のスコポラミンは有効か、安全かを検証した研究の紹介です。
- スコポラミンの点鼻製剤の有効性を検証したRCT
- プラセボや抗ヒスタミン薬と比較して、投与後30分以内に作用が発現し、乗り物酔いに有効
- 鼻や咽頭上部の粘膜刺激の副作用は認められなかった
Scopolamine nasal spray in motion sickness: a randomised, controlled, and crossover study for the comparison of two scopolamine nasal sprays with oral dimenhydrinate and placebo. Eur J Pharm Sci. 2001 May;13(2):227-32. doi: 10.1016/s0928-0987(01)00107-5. PMID: 11297908.
2001年にドイツから公表されたようです。
乗り物酔いにおいてスコポラミン点鼻薬は有効?[ドイツ編]
研究の背景/目的
スコポラミンが乗り物酔いの治療に成功したのは約100年前で、鼻腔内投与が最初に研究されたのは50年前である。しかし、鼻腔内投与用の製剤が登場することはこれまでになかった。
研究の方法
スコポラミンに安定で適切な製剤が見つかった。
ドイツ空軍航空医学研究所において、プラセボ対照と内的妥当性のためのプラセボ/プラセボ対照を含む無作為化、二重盲検クロスオーバーデザインで、有効性と安全性および忍容性を調べる試験が行われた。
スコポラミン点鼻薬の新しい、安定した、忍容性の高い製剤の有効性を評価するために、回転椅子による再現性のある全身振動の誘発を選び、船酔いスコア(SKS)の検証を行いました。
研究の結果
船酔いスコア(SKS)の低減を認めたことから、濃度0.2%のスコポラミン点鼻薬は、プラセボおよびジメンヒドリナートの両方に対して統計的に優れていることが示された。
また、鼻や咽頭上部の粘膜に刺激を与えるような兆候は見られなかった。
結論
スコポラミン点鼻薬は、投与後30分以内に作用が発現し、乗り物酔いに有効で安全な治療法であることが明らかになった。
考察と感想
ジメンヒドリナートは抗ヒスタミン薬のようです。
スコポラミンの点鼻薬はプラセボやジメンヒドリナートと比較して回転椅子による乗り物酔い症状を軽減させるこうかがあったようですね。
残念な点としては、日本ではスコポラミンの点鼻製剤はないことですね。
まとめ
スコポラミンの点鼻製剤の有効性を検証したRCTです。
プラセボや抗ヒスタミン薬と比較して、投与後30分以内に作用が発現し、乗り物酔いに有効で安全な治療法であることが明らかになった
また、鼻や咽頭上部の粘膜刺激の副作用はないことが示唆された。
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