今回は、乗り物いに対してショウガは有効か、安全かを検証した前後比較研究の紹介です。
- ショウガ根が乗り物酔いの有効化を実験室で検討した前後比較試験
- ショウガ根を使用したところ、旅行中に感じる乗り物酔いのスコアは軽快
- 前後比較試験であり、RCTなどで有効性を再検証する必要はある
Wood CD, Manno JE, Wood MJ, Manno BR, Mims ME. Comparison of efficacy of ginger with various antimotion sickness drugs. Clin Res Pr Drug Regul Aff. 1988;6(2):129-36. doi: 10.3109/10601338809031990. PMID: 11538042.
2020年にブラジルから公表されたようです。
乗り物酔い予防におけるショウガやさまざまな薬の効果[アメリカ編]
研究の背景/目的
生姜および他のいくつかの薬物を、スコポラミンおよびd-アンフェタミンと比較して、乗り物酔いの予防効果について検討した。
研究の方法
二重盲検法を用いた研究で、被験者に薬を2時間前に薬を投与された被験者を、椅子にすわらせを回転させ、嘔吐を伴わない症状の合計に達するまで頭を動かした。
回転速度と乗り物酔いの終点については、標準化されたN.A.S.A.手法を用いた。
研究の結果
生姜の用量は3つあったが、いずれもプラセボレベルの有効性であった。
アミトリプチリン、エトプロパジン、トリヘキシフェニジルは許容される頭部の回転運動を増加させたが、その増加は統計的に有意でなかった。
ジメンヒドリナート、プロメタジン、スコポラミン、d-アンフェタミンは有意な保護効果を示した。
これらの薬物とd-アンフェタミンの併用により、保護作用はさらに増強された。
有効性は投与量の増加に伴い最大となった。
結論
本研究で選択された薬剤は、スコポラミン0.6mgとd-アンフェタミン10mgの併用であった。
この組み合わせは,許容できる副作用を伴う良好な保護効果を示した.
考察と感想
本文中には副作用の記載もあり、多いものから消化不良(26%)、げっぷ(26%)、頭痛(9%)、吐き気(7%)、不眠(5%)などがあげられていました。
先ほども記載しましたが、前後比較試験であるため、本当に「有効」であるかの判断はやや難しいように思います。というのも、乗り物酔いには「慣れ」がありますので、2回目、3回目の実験の際にスコアが改善する可能性があるからです。
また、これまでの研究ではZ officinaleは1000〜2000mgほど使用していましたが、今回は160mg (gingerolとして8mg)とかなり少ないです。
今回の研究結果で有効性をいうのはやや無理があるように思うので、著者らの言う通りRCTが必要というのは同意です。
まとめ
ショウガ根が乗り物酔いの有効化を実験室で検討した前後比較試験となります。
ショウガ根を使用したところ、旅行中に感じる乗り物酔いのスコアは軽快したようです。
しかし、前後比較試験であり、RCTなどで有効性を再検証する必要はあるでしょう。
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