今回は、モダフィニル単独、およびスコポラミンとの併用(MS)が乗り物酔いの有効かを実験室で検討したRCTとなります。
- モダフィニル単独、およびスコポラミンとの併用(MS)が乗り物酔いの有効かを実験室で検討したRCT
- モダフィニル単独での効果は認められず
- スコポラミンとの併用時のみに有効性が確認
Hoyt RE, Lawson BD, McGee HA, Strompolis ML, McClellan MA. Modafinil as a potential motion sickness countermeasure. Aviat Space Environ Med. 2009 Aug;80(8):709-15. doi: 10.3357/asem.2477.2009. PMID: 19653573.
2009年にアメリカから公表されたようです。
乗り物酔い予防におけるモダフィニルの効果[アメリカ編]
研究の背景/目的
乗り物酔いは、軍の航空および海上での活動に悪影響を及ぼす。薬は乗り物酔いを防ぐのに役立つが、副作用を伴うことが多い。
よりよい薬やその組み合わせが必要である。デキストロアンフェタミンは、乗り物酔の予防効果があることが証明されているが、乱用の可能性もある。
モダフィニルは比較的新しい中枢神経刺激剤で、デキストロアンフェタミンの欠点はないが、乗り物酔いの治療法としては評価されていない。
研究の方法
この二重盲検プラセボ対照試験は、モダフィニルの単独または経口スコポラミンとの併用による、乗り物酔い防止効果を評価した。
Coriolis cross-coupling刺激により、中等度の吐き気を誘発した。
60名の参加者は、3つの条件のうち1つにランダムに割り当てられた:
- プラセボ2錠(DP)
- モダフィニル+プラセボ(MP)
- モダフィニル+経口スコポラミン(MS)
薬効の主要な指標は、中等度の吐き気に達したときに1分間、軽減することなく耐えられた頭部の回転数であった。
研究の結果
モダフィニルとスコポラミンの併用(MS)により、被験者はプラセボよりも有意に多くの頭部傾斜に耐えることができた。
一方で、モダフィニル単独(MP)はプラセボ(DP)と有意差を見出すことができなかった。
また、3つの実験条件において、有意な認知能力の低下は観察されなかった。
結論
モダフィニルはプラセボより効果が高いとは認められなかった。
潜在的に有望なモダフィニルとスコポラミンの併用が、スコポラミン単独投与より優れた効果をもたらすか、副作用が少ないかを判断するために、さらなる試験を行うことが推奨される。
考察と感想
モダフィニルには乗り物酔いの予防効果はほとんどなく、スコポラミンのみに有効性が示唆されています。これは既報通りの結果のように思います。
デキストロアンフェタミンを使用した試験を私は知らないので、これから調べてみようと思います。
まとめ
モダフィニル単独、およびスコポラミンとの併用(MS)が乗り物酔いの有効かを実験室で検討したRCTとなります。
モダフィニル単独での効果は認められず、スコポラミンとの併用時のみに有効性が確認されたようです。
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし
知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。
感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/23 09:54:44時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/23 13:17:43時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。
(2024/11/23 13:17:44時点 Amazon調べ-詳細)
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/23 01:09:35時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています