肥満は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化に関連する主な要因の1つです。
人の健康に大きな影響を与えることから、社会経済的地位(SES)は肥満とCOVID-19の重症度との関連に影響を与える可能性があり、今回の研究が行われたようです。
- 肥満は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化に関連する主な要因の1つである。
- 人の健康に大きな影響を与えることから、社会経済的地位(SES)は肥満とCOVID-19の重症度との関連に影響を与える可能性がある。
- 結果は、肥満とCOVID-19の重症化との関連は、SESの影響を受けていることを示しています。
- SESとCOVID-19の結果との関連は、肥満関連形質によって影響されなかった
- COVID-19の罹患率および死亡率を減少させるために体格を標的とした予防戦略は、SESの背景を評価することで有益となる可能性がある。
Cabrera-Mendoza B, Wendt FR, Pathak GA, De Angelis F, De Lillo A, Koller D, Polimanti R. The association of obesity-related traits on COVID-19 severity and hospitalization is affected by socio-economic status: a multivariable Mendelian randomization study. Int J Epidemiol. 2022 Jun 25:dyac129. doi: 10.1093/ije/dyac129. Epub ahead of print. PMID: 35751636.
2022年にUKから公表されたようです。
COVID-19の重症度と入院に関する肥満関連形質の関連は社会経済的地位に影響される:多変量メンデルランダム化研究[UK編]
研究の背景/目的
(SES)は、人間の健康に大きな影響を与える。
このため、肥満と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度との間に確立された関連に、SESは少なくとも部分的に影響を与える可能性がある。
今回の研究は、COVID-19の臨床症状に対して、体格とSESの独立した効果を推定するために、メンデルランダム化(MR)試験を実施した。
研究の方法
2-sample MR法を用いて、body mass index(BMI, n = 322 154)、腹囲(WC, n = 234 069)、尻囲(n = 213 019)およびウエストヒップ比(n = 210 088)の影響を評価した。
重症呼吸器症状(症例=8779、対照=1000 875)、入院(症例=17 992、対照=1810 493)、COVID-19感染(症例=87 870、対照=2 210 804)の3つを指標にした症例対象研究であった。
多変量MR(MVMR)法を適用し,世帯収入で評価したSESの影響を考慮した上で,これらの身体的特徴のCOVID-19関連アウトカムへの影響を推定した(n = 286 301)。
研究の結果
BMIおよびWCは、重症呼吸器症状[BMI:オッズ比(OR)=1.51、CI=1.24-1.84、P=3.01e-05]および入院(BMI: OR = 1.50, 95% CI = 1.32-1.72, P = 8.83e-10; WC = OR = 1.41, 95% CI = 1.20-1.67, P = 3.72e-05)と関連していた。
逆に,所得は,重症呼吸器症状(OR = 0.70,95% CI = 0.53-0.93,P = 0.015)および入院 (OR = 0.78,95% CI = 0.66-0.92,P = 0.003)と逆の関連があった.
MVMR解析の結果、これらの肥満関連形質がCOVID-19のアウトカムのオッズを増加させる効果は、所得を考慮すると無効となることが示された。
逆に,所得とCOVID-19関連アウトカムの低いオッズとの関連は,多変量モデルに身体測定形質を含めても影響されないことが示された。
結論
本研究の結果は、SESが肥満関連形質のCOVID-19重症度や入院への影響に寄与していることを示している。
考察と感想
Two sample MRを使用した研究でした。
Two sampleは遺伝情報とアウトカム、曝露情報とアウトカムを別々に取得して最後に統計学的手法を用いて合わせる手法ですが、あまり個人として使用したことがないので、実感がわかずに論文を読解するのが難しかったです。
まとめ
今回の研究の結果は、肥満とCOVID-19の重症化との関連は、SESの影響を受けていることを示しています。
COVID-19の罹患率および死亡率を減少させるために体格を標的とした予防戦略は、SESの背景を評価することで有益となる可能性が示唆されます。
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