Woehlk C, Von Bülow A, Ghanizada M, Søndergaard MB, Hansen S, Porsbjerg C. Allergen immunotherapy effectively reduces the risk of exacerbations and lower respiratory tract infections in both seasonal and perennial allergic asthma: a nationwide epidemiological study. Eur Respir J. 2022 Nov 17;60(5):2200446. doi: 10.1183/13993003.00446-2022. PMID: 35618279.
アレルゲン免疫療法は季節性および通年性アレルギー性喘息における喘息増悪および下気道感染症のリスクを効果的に低減 [デンマーク編]
研究の背景/目的
アレルギー性喘息は、呼吸器感染症や喘息増悪のリスクが高まることと関連している。しかし、この感受性が季節性アレルギーによるものか、それとも通年性アレルギーによるものかは明らかになっていない。
通年性アレルギーが季節性アレルギーと比較して、下気道感染症および喘息増悪のリスク因子となるかどうか、また、そのリスクがアレルゲン免疫療法(AIT)によって低減できるかを検討する。
研究の方法
1995年から2014年の間にAITを受けた18~44歳の成人を対象とした、前向き登録に基づく全国規模の研究である。AITの種類と抗喘息薬の使用状況に基づき、対象者を通年性アレルギー性喘息(PAA)と季節性アレルギー性喘息(SAA)の2群に分類した。下気道感染症(LRTI)に対する抗生物質の使用と、喘息増悪に対する経口コルチコステロイドの使用について、AIT開始前(ベースライン)およびAIT完了後3年間(フォローアップ)のデータを分析した。
研究の結果
AITを受けた喘息患者2688人を特定し、そのうち1249人がPAA、1439人がSAAであった。ベースライン時点では、SAAの患者はPAAの患者よりも喘息増悪の頻度が高かった(23.8%対16.5%、p⩽0.001)が、LRTIの発生率には有意な差はなかった。
3年間のフォローアップ期間中、喘息増悪の頻度は有意に減少し、PAAでは平均57%、SAAでは74%の減少が認められた。また、LRTIの発生率もPAAで17%、SAAで20%と有意に低下した。
結論
AITは、季節性および通年性アレルギー性喘息の両方において、喘息増悪および下気道感染症のリスクを効果的に低減した。また、通年性アレルギーは季節性アレルギーよりも呼吸器感染症や喘息増悪のリスクが高いとは言えないことが示唆された。
考察と感想
AIT完了後3年間のフォローアップでは、喘息増悪が通年性で57%、季節性で74%減少し、LRTIもそれぞれ17%、20%減少。通年性アレルギーが季節性アレルギーよりも喘息増悪や感染症のリスクを高める明確な証拠は得られなかった。
AITは喘息増悪およびLRTIのリスクを大幅に低減し、通年性・季節性アレルギーのいずれにも有効であることが示された。対照群の不在や喘息の重症度評価の限界はあるものの、AITが免疫調整を通じて感染症リスクを軽減する可能性が示唆された。AITは、喘息増悪や感染症リスクが高い患者に対する有望な治療法として、さらなる研究が求められる。
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