今回は、市中肺炎における抗菌薬の適正使用に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:市中肺炎における抗菌薬の適正使用
- アンピシリンより広域の抗生物質で治療しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
合併症のない市中肺炎をアンピシリンより広域の抗生物質で治療しない[Choosing wisely]
Don’t treat uncomplicated community-acquired pneumonia in otherwise healthy, immunized, hospitalized patients with antibiotic therapy broader than ampicillin.
Community-acquired pneumonia (CAP) accounts for a significant percentage of antibiotic use in children. Unnecessary use of broadspectrum antibiotics, including cephalosporins such as ceftriaxone, have been shown to contribute to antibiotic resistance and C. difficile infection. The most common cause of CAP in healthy, immunized children is Streptococcus pneumoniae, of which most strains are highly susceptible to penicillin/ampicillin. As ampicillin achieves high levels in the lung and is narrow in spectrum, it should be used as a first-line drug for inpatient management of most children with uncomplicated pediatric CAP. In cases with more resistant local epidemiology, or complicated CAP including empyema, antibiotics with a broader spectrum may be needed.
健康で免疫のある入院患者において、合併症のない市中肺炎をアンピシリンより広域の抗生物質で治療しない。
市中肺炎(CAP)は、小児における抗生物質の使用量のかなりの割合を占めています。セフトリアクソンなどのセファロスポリンを含む広域抗生物質の不必要な使用は、抗生物質耐性やC. difficile感染症の一因となることが示されています。
予防接種を受けた健康な小児におけるCAPの最も一般的な原因はStreptococcus pneumoniaeであり、そのほとんどの菌株はペニシリン/アンピシリンに高い感受性を示します。
アンピシリンは肺の中で高い濃度を達成し、スペクトルが狭いので、合併症のない小児CAPのほとんどの子供の入院管理に第一選択薬として使用すべきです。
より耐性の高い地域の疫学を持つ症例や、肺気腫を含む複雑なCAPでは、より広いスペクトルを持つ抗生物質が必要となる場合があります。
考察と感想
市中肺炎における抗菌薬の適正使用に関してでした。
基本はアンピシリンで、あとは予防接種、地域の疫学、合併症などの考慮が必要ですね。
参考文献も読んでみようと思います:
Bradley, J. S., Byington, C. L., Shah, S. S., Alverson, B., Carter, E. R., Harrison, C., et al. (2011, October). The management of community-acquired pneumonia in infants and children older than 3 months of age: clinical practice guidelines by the Pediatric Infectious Diseases Society and the Infectious Diseases Society of America. Clinical Infectious Diseases: An Official Publication of the Infectious Diseases Society of America. Oxford University Press. http://doi.org/10.1093/cid/cir531
Newman, R. E., Hedican, E. B., Herigon, J. C., Williams, D. D., Williams, A. R., & Newland, J. G. (2012). Impact of a Guideline on Management of Children Hospitalized With Community-Acquired Pneumonia. Pediatrics, 129(3), e597–e604. http://doi.org/10.1542/peds.2011-1533.
Harrison CJ, Woods C, Stout G, et al. Susceptibilities of Haemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniae, including serotype 19A, and Moraxella catarrhalis paediatric isolates from 2005 to 2007 to commonly used antibiotics. J Antimicrob Chemother 2009; 63:511–9.
Kyaw MH, Lynfield R, Schaffner W, et al. Effect of introduction of the pneumococcal conjugate vaccine on drug-resistant Streptococcus pneumoniae. N Engl J Med 2006; 354:1455–63.
まとめ
今回は、市中肺炎における抗菌薬の適正使用に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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