今回は、小児ITP患者において、IVIGとステロイドを比較したランダム化比較試験があります。
- 小児のITPにおいて、ステロイドパルスとIVIGを比較したRCT
- IVIGのほうが血小板数の増加速度は早かった
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
ITP は、免疫応答を介した血小板破壊を特徴とする後天性疾患である。
著者らは、小児急性ITPの治療において免疫グロブリン静注療法 (IVIG) と高用量メチルプレドニゾロン静脈内投与とを比較する前向きランダム化試験を実施した。
この試験の主な目的は、血小板増加率を治療グループで比較することであった。
治療の決定は任意の血小板数ではなく、臨床症状に基づいていて行われた。
一般に、登録患者は広範な紫斑・あざと血小板数 < 1万/μLを条件とした。
方法
担当の血液専門医が急性治療が必要であると判断した77人のITP患者を対象とした。
治療は、
- 42名の患者はIVIG (1 g/kg/dose ×2)
- 35名はメチルプレドニゾロン(30 mg/kg/回×3)
を受けた。
1回目のIVIG投与後または2回目のメチルプレドニゾロン投与後に5万/μL以上の血小板数増加を示した患者は、2回目のIVIG投与も3回目のメチルプレドニゾロン投与も受けなかった。
患者の年齢は6か月から15歳であった。
血小板数は、発症時、 24, 48, 72時間、 1週間、および2~4週間後に評価した。
結果
IVIGで治療した患者の80%およびメチルプレドニゾロンで治療した患者の60%は、 48時間以内に5万/μL以上の血小板数の増加を示した。
IVIGおよびメチルプレドニゾロン療法はいずれも血小板数を治療前値より統計学的に有意に増加させた:
IVIG | mPSL | |
ベースライン | 4200 | 4600 |
24時間後 | 32,000 | 14,000 |
48時間後 | 69,000 | 38,000 |
72時間後 | 146,000 | 65,000 |
メチルプレドニゾロンと比較すると、 IVIG療法は24, 48, 72時間で血小板数のより大きな上昇をもたらした。
1週間以降の時点では差はなかった。いずれの治療群でも重篤な出血は認められなかった。
結論
IVIGおよびメチルプレドニゾロンはともに血小板数の有意な早期上昇をもたらしたが、 IVIGの方がやや多い。
しかし、 IVIGによって生じる血小板数の増加は、この薬剤のコストおよび潜在的なリスクを正当化しない可能性があるため、追加検証が必要である。
考察と感想
小児の急性ITPにおいて、IVIGのほうが急激に血小板数が上昇するのは、実臨床にも沿ったデータであると思います。
一方で、IVIGとステロイドを比較した場合、前者のほうがコストが大きくかかります。日本のデータでも、前者を使用した場合に、10万円以上のコストが高くついたというデータもあります。
高いコストに見合う価値があるのか、そういった議論がでてくるのも自然なながれのように思います。
まとめ
今回は、小児のITPにおいて、IVIGとステロイドを比較したRCTです。
いずれも血小板数増加に大きな役割を果たしていますが、IVIGのほうが急速に血小板数が増加する傾向にあるようです。
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