今回は、抗てんかん薬の血中濃度に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:抗てんかん薬の血中濃度
- 発作が十分にコントロールされていて、副作用が疑われない場合、ルーチンな検査は避ける
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
てんかん患者では、抗てんかん薬の血中濃度のルーチンな検査は避ける[Choosing wisely]
Avoid routine testing for antiepileptic drug (AED) levels in people with epilepsy.
AED level testing should not be routinely ordered when seizures are well controlled, and no adverse effect is suspected. The reference ranges should not be used as a rigid framework. The effectiveness and tolerability of treatments should be determined by the clinical responses. AED levels should be ordered to address a specific question. Some examples include weight-based dosing adjustments in young children, adherence, suspected toxicity, and pregnant women.
てんかん患者では、抗てんかん薬(AED)レベルのルーチン検査は避けるべきです。
発作が十分にコントロールされていて、副作用が疑われない場合には、抗てんかん薬(AED)レベルの検査をルーチンに行うべきではありません。
基準範囲は、厳密な枠組みとして使用すべきではありません。治療法の有効性と忍容性は、臨床的な反応によって決定されるべきである。
抗てんかん薬(AED)のレベルは、特定の問題に対処するために指示されるべきである。例としては、幼児の体重に応じた投与量の調整、アドヒアランス、毒性の疑い、妊婦などが挙げられる。
考察と感想
発作が十分にコントロールされていて、副作用が疑われない場合には、抗てんかん薬(AED)レベルの検査をルーチンに行うべきではありません、という内容でした。
参考文献も読んでみようと思います:
Eadie MJ Therapeutic drug monitoring – antiepileptic drugs. Br J Clin Pharmacol 1998; 46:185-193.
Patsalos PN et al Antiepileptic drugs—best practice guidelines for therapeutic drug monitoring: A position paper by the subcommission on therapeutic drug monitoring, ILAE Commission on Therapeutic Strategies. Epilepsia 2008, 49(7):1239–1276.
St. Louis EK Monitoring Antiepileptic Drugs: A Level-Headed Approach. Current Neuropharmacology, 2009, 7:115-119.
Affolter N et al Appropriateness of serum level determinations of antiepileptic drugs. Swiss Med Wkly 2003; 133:591-597.
Tomson T et al Therapeutic monitoring of antiepileptic drugs for epilepsy (Review). Cochrane Database of Systematic Reviews 2007, Issue 2. Art. No.: CD002216. Copyright © 2010 The Cochrane Collaboration. John Wiley & Sons, Ltd.
Walters RJL et al Inappropriate requests for serum anti-epileptic drug levels in hospital practice. Q J Med 2004, 97:337-341.
Stepanova D, Beran RG. The benefits of antiepileptic drug (AED) blood level monitoring to complement clinical management of people with epilepsy. Epilepsy Behav. 2015; 42:7-9.
まとめ
今回は、抗てんかん薬(AED)レベルのルーチン検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
(2024/12/21 03:10:47時点 Amazon調べ-詳細)
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/12/21 02:10:50時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています
当ブログの注意点について
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。