- 下痢の時は腸を休めて
などの理由で、胃腸炎の時に食事制限をするように指導する医師もいるようです。
確かに、水分摂取もままならないようであれば、食事は無理をしないほうがよいとは思いますが、比較的軽い胃腸炎で、ある程度の水分がとれる状況であれば、これはいきすぎた指導のようにも感じます。
今回は、胃腸炎ではあるものの、ある程度食事がとれる小児において、食事を遅らせるメリットがあるか否かを検討した研究をみていきましょう。
ポイント
- イスラエルの小児で行われたRCTです
- 胃腸炎の小児の食事再開をおくらせるべきか検討いています
- 嘔吐がひどくなければ、食事再開を遅らせるメリットはなさそうでした
マミー
胃腸炎のときに、食事を遅らせたほうがよいって本当ですか?
Dr.KID
過去の研究結果をもとに解説していきましょう。
研究の概要
今回の研究は、1988年にイスラエルから報告された研究です。
下痢のため受診した乳児を対象にランダム化比較試験が行われています。
治療
治療は、WHOの推奨する経口補水液で脱水を改善させた後、
- 6時間以内に食事を再開する
- 24時間以降に食事を再開する
のいずれかをランダムに設定しています。
結果
最終的に早期再開(N = 53) と後期再開(N=27)の60人が解析対象となっています。
アウトカムに関しては、
- 体重変化
- 脱水
- 下痢の回数
- 入院率
などを見ていますが、いずれも同等の結果のようです。
下痢の期間に関しても以下の通りでした:
早期 (N=37) | 後期 (N=26) | |
下痢の期間 | 88.8 (45.6) |
86.4 (52.8) |
Dr.KID
早く食事を再開したからといって、下痢の期間が長くなるわけではなさそうですね。
感想と考察
経口補水ができるレベルの胃腸炎ですので、嘔吐がそれほどひどくなかったのでしょう。ある程度、水分が飲める状況であれば、無理して食事を制限する必要はなさそうな印象をうけるデータでした。
Dr.KID
飲めるなら、食事のタイミングは気にせず再開してもよいでしょう。
まとめ
今回の研究は、急性胃腸炎のときの食事再開のタイミングに関してランダム化比較試験で検討をしています。
水分摂取が可能で吐き気が強くなければ、食事の再開を遅らせる必要はなさそうなデータでした。
マミー
水分摂取が可能な状況なら、食事再開のタイミングはいつでもよいのですね。
Dr.KID
無理に遅らせる必要はないと思いますよ。
まとめ
- イスラエルの小児で行われたRCTです
- 胃腸炎の小児の食事再開をおくらせるべきか検討いています
- 嘔吐がひどくなければ、食事再開を遅らせるメリットはなさそうでした
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