賢明な医療の選択

円形脱毛症の患者に対して、問題となる疾患の徴候や症状がない場合には、ルーチンで検査をしない[Choosing wisely]

今回は、小児の円形脱毛症と臨床検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
小児の円形脱毛症と臨床検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:小児の円形脱毛症と臨床検査
  •  症状がない場合には、ルーチンで検査をしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

円形脱毛症の患者に対して、問題となる疾患の徴候や症状がない場合には、ルーチンで検査をしない[Choosing wisely]

Do not routinely order laboratory tests for patients with alopecia areata in the absence of signs and/or symptoms of the diseases in question.

Alopecia areata is a hair loss disorder believed to have an autoimmune origin. It is well-established that patients with alopecia areata have an
increased risk of other autoimmune conditions, with thyroid disease being the most common. As in the case of vitiligo, it is more common to find
thyroid autoantibodies or subclinical hypothyroidism than overt thyroid disease, unless there are clinically suspicious findings. Patients identified
as having subclinical hypothyroidism are not currently treated and may even have resolution of the abnormal TSH.

Recognizing the risk of associated autoimmune disease has led physicians over time to screen patients with alopecia areata for other diseases. There
is no convincing evidence that extensive workups in the absence of specific clinical suspicion improves outcomes for patients and may in fact beget
additional costs, including follow-up for patients screening positive, as well as harms. Although many studies suggest ordering these tests, this is
based largely on the increased cosegregation of alopecia areata and thyroid disease and not on improved management strategies or outcomes from
having identified an abnormal laboratory test result. Therefore, thyroid function testing, including screening for thyroid autoimmune disease or
hypothyroidism, is only indicated for clinical findings such as goiter, slow growth and hypothyroid symptoms, or a strong family history of thyroid disease.

円形脱毛症の患者に対して、問題となる疾患の徴候や症状がない場合には、ルーチンで検査をしない。

円形脱毛症は、自己免疫疾患に起因すると考えられている脱毛症です。円形脱毛症の患者は、他の自己免疫疾患のリスクが高いことが明らかになっています。甲状腺疾患をはじめとする他の自己免疫疾患のリスクが高まることが知られています。

尋常性白斑の場合と同様に、臨床的に疑わしい所見がない限り、明らかな甲状腺疾患というより、甲状腺自己抗体や潜在性甲状腺機能低下症が見つかることが多いです。患者は 潜在性甲状腺機能低下症と診断された患者は、現在治療を受けておらず、TSHの異常が解消されていることさえあります。

関連する自己免疫疾患のリスクを認識することで、医師は長い間、円形脱毛症の患者に他の病気がないかどうかをスクリーニングするようになりました。

しかし、臨床的に特別な疑いがないにもかかわらず、大規模な検査を行うことが患者の転帰を改善するという説得力のある証拠はありません。実際には、スクリーニングで陽性となった患者のフォローアップを含め、追加のコストがかかるだけでなく、有害である可能性もあります。

多くの研究がこれらの検査の実施を提案しているが、これは主に これは主に円形脱毛症と甲状腺疾患の併発が多いことに基づいており、検査結果の異常を確認することで管理戦略や転帰が改善されるというものではない。
これは主に円形脱毛症と甲状腺疾患の関連性の高さに基づくものであり、検査結果の異常を確認することで管理戦略や結果が改善されるというものではない。

したがって、甲状腺の自己免疫疾患や甲状腺機能低下症のスクリーニングを含む甲状腺機能検査は、甲状腺腫、成長の遅れ、甲状腺機能低下症の症状などの臨床的所見がある場合、あるいは甲状腺疾患の強い家族歴がある場合にのみ適応されます。

考察と感想

小児の円形脱毛症と臨床検査に関してでした。

確かに脱毛と甲状腺疾患の関連はよく言われていますが、どのくらいの頻度で、どのくらいリスクが上昇するのかというのは知っておいた方が良いのかもしれないですね。

参考文献も読んでみようと思います:

Patel D, Ping L, Bauer A, Castelo-Soccio L. Screening guidelines for thyroid function in children with alopecia areata. JAMA Dermatol. 2017;153(12):1307-1310

Kinoshita-Ise, M; Martinez-Cabriales S & Alhusayen, R. Chronological association between alopecia areata and autoimmune thyroid disease: a systematic review and meta-analysis. J Dermatol
2019; Aug 46(8): 702-709.

まとめ

今回は、小児の円形脱毛症と臨床検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。