こどもの切り傷ついて疑問がある方々へ
- 「ぶつけて切れて、皮膚が開いてしまったけれど、どのような処置をしますか?」
- 「これは縫った方がよいですか?」
など、切り傷のときに、どのような選択肢があるのか、縫った方がよいのか気になっている方はいるでしょう。
また、傷跡が残らないか心配な方も多いと思います。
そこで、本記事では下記の内容を解説します。
本記事の内容
- 縫合処置について
- 傷跡について
小児科で縫合処置を受けることは少ないと思いますが(一部の病院では小児科医や小児救急医が行なっています)、傷跡に関する質問など気になっている方が多いと思います。
縫合の処置について
まずは皮膚の処置の種類について解説していきましょう。
皮膚の処置の種類について
ぶつけたり、切れてしまって、ぱっくりと開いた皮膚の処置には、実はいくつか種類があります。具体的には、
- 皮膚用のテープ
- 医療用瞬間接着剤(ダーマボンド®)
- 皮膚用のホッチキス
- 縫合する
など、いくつかの選択肢があります。
瞬間接着剤と聞くと、アロンアルファを思い浮かべる方がいるかもしれません。
医療用のアロンアルファAは、一般用のアロンアルファよりも純度を高めて、安全に使用できるように作られた接着剤です。
色々な選択肢があるとお話しすると、縫合は痛そうなイメージがあるためか、「縫わなくていいので、テープなどで処置できませんか?」と話をされることがあります。
しかし、それぞれの処置には利点と欠点があります。
例えば、医療用瞬間接着剤は、目の周りでは非常に使いづらいです。(目を接着させてしまう可能性がある)
また、テープの場合、汗や皮脂、髪の毛などで接着しづらくなるので、頭髪など毛の生えている場所では使用しづらいです。
縫った方が確実?
治療方針は医療機関によっても異なるでしょうが、テープや接着剤を使うか、縫おうか迷ったら、どちらかといえば縫ったほうが確実だと思います(これは医師によっても意見は異なります)。
縫合の際には、局所麻酔を使用して、縫合に伴う痛みをなくしてから行うのが一般的です。
局所麻酔で痛みを軽減する
縫合の時は、局所麻酔を用いて痛みを感じさせなくするのは基本です。
大人でもそうですが、小児も局所麻酔を痛いと感じさせないために、
- 細い針を使用(物理的な痛みを軽減させる)
- 薬を冷たいまま使用しない(冷たい刺激で痛みを誘発させない)
- ゆっくりと薬は入れる(圧力をかけると痛みがひどくなる)
の3つを意識すると良いと言われています。
傷口の処置をする際、医療者と子供だとパニックになってしまうお子さんもいます。
診察室でDVDなどを見せて、気を紛らわせるなど、様々な工夫が必要です。
傷跡が残らないか心配です
ぱっくりを割れた皮膚を処置する際や、その後に「傷跡は残りますか?」と聞かれることがあります。
やや残酷な言い方になってしまいますが、傷跡は完全になくなることはありません。
これは、どんなに腕のいい方が縫合をしたとしても、一度開いてしまった皮膚の傷跡が完全になくなることはないでしょう。
しかし、小児の方が皮膚の新陳代謝がよく、細胞も若いため、傷跡は綺麗に治りやすいです。さらに、縫合後の二次感染に気をつけたり、皮膚の紫外線対策をすることで、目立たなくする工夫はあります。
事故予防が大事
家庭内で机の角などに頭をぶつけてしまうことがあります。
もちろん完全な予防は難しいですが、リスクを減らすことはできますので、家庭環境を見直すことも重要と考えています。
また、お子さんの発達段階で起こりやすい事故がありますので、パターンを知っておくと良いかもしれません。
まとめ
今回は小児の皮膚の縫合について簡単に解説してきました。皮膚の処置としては、縫合、接着剤、テープ、ホッチキスなどがあります。
どれを使用するかは、怪我をした場所、年齢、傷の深さを参考に決めており、施設毎に異なる印象です。
傷跡が目立たないように、二次感染に気をつけたり、紫外線対策をすることは重要と考えています。